英語の勉強法やモチベーションを確保するためにXやInstagramなどのSNSを使う人は多いのではないでしょうか?
日常ではなかなか出会えない英語友達を作れたり役に立つ会話表現を気軽に学べたりする他、時には憧れの英語系インフルエンサーに直接質問出来たりします。
このように使い方次第では夢と世界が広がるSNSですが、一方で思わぬ「デメリット」もあります。
今回は英語学習者の視点から見た、SNSを使い続ける上の注意点について解説します。
英語学習でSNSを使う一般的なメリット
まず始めに英語学習におけるSNSを使うメリットについて簡単に説明します。
メリット① 英語学習のモチベーションが上がる
SNSの中には英語学習に非常に熱心な人も多くいます。TOEIC300点台から900点まで伸ばした人、中学英語レベルから勉強して海外に留学するまでに成長した人。SNSにはそのような目覚ましい成果を上げた方々が多くいます。
もしかすると普段中々会えないようなTOEIC満点保持者や国連英検特A級合格者とも友達になれるかもしれません。
一方で勉強垢と呼ばれるような、日々の学習内容をXに毎日投稿しているようなアカウントも沢山あります。主にはカフェなどで行った勉強の内容を細かく投稿していることが多いようです。
勉強垢において「今日はTOEICの公式問題集とNHKのラジオ英会話を3時間勉強しました」との様な投稿を見れば、自分もダラダラしている暇はないと考え直す人も多いのではないでしょうか。
他人の行動を見て、モチベーションを上げたい人には素晴らしい効果があるでしょう。
メリット② 試験などの最新情報を入手しやすくなる
TOEICや英検などの英語試験の最新情報や裏技などを手軽に得ることが出来ることもメリットです。
例えば英検においては、過去問の語彙の出題傾向や合格点(CSEスコア換算)の目安などについてXで発信しているアカウントがあります。
また英語関係のイベントや勉強会の報告などもSNSに多く投稿されています。
SNSを使い続ける本当のデメリット
ここからは本題である「SNSを使い続けるデメリット」について大きく3つに分けて説明します。ここで気を付けたいのは「使い続ける」という点です。
SNSに長く入り浸ることで、メリットよりもデメリットの方が大きくなってしまう可能性が増大します。
デメリット① 人と比べてしまい自分の立ち位置が分からなくなる
あなたはこれまでSNSで周りの凄い人と比べてしまい劣等感を感じてしまったことはないでしょうか?
それは英語学習界隈でも同じです。
また人は自分によって良い事だけをSNSに投稿することが多いのも特徴であります。
合格や海外赴任などの良い出来事を発信する人は多いですが、不合格など悪い出来事を進んで投稿する人は非常に少ないのが現状です。
例えばTOEICの点数というのは非常にわかりやすい指標になっています。
「理系院生@英語学習は世界への扉」様のブログ記事によれば、X(旧Twitter)界隈で公表されているTOEICの点数200人分を集計した所、なんと平均点は813点であったと公表しています。
参照元:理系院生@英語学習は世界への扉 様 「TOEIC自分の結果+TwitterでTOEIC結果200個集計してみた」
つまりXで公表しているTOEICスコアは公開テストの平均点である600点強と比較して200点以上高いことを示しています。
「TOEIC800点」は社会人の一般的な英語力と比べれば十分高い点数ですが、TOEIC満点取得者や海外大学経験者が闊歩するSNSの世界では平均的に見えてしまうのは気のせいではないのかもしれません。
一番恐ろしいことはSNSの世界の感覚を現実の世界に持ち込んでしまうことです。
もしTOEIC800点を持っている人が先ほどのSNSの世界で劣等感を感じた状態にあるとします。
この人が自分の会社の同僚や友達の前で「TOEIC800点なんて誰でも取れるでしょ」とか言えば、みんなから顰蹙を買うことは間違いないでしょう。
このようにSNSの世界に長く入り浸っていると、自分の立ち位置が分からなくなるため、現実世界での人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
デメリット② 余計な炎上や論争に巻き込まれる
SNSによる投稿はおもわぬ炎上や無駄な論争に巻き込まれるケースがあります。
様々な立場の人が発信できる他、発信に必要なハードルが低いため、一時の怒りに任せた投稿や謎の上から目線のコメントも多いのが特徴です。
英語学習界隈で有名な”とげまる”氏は自身のアカウントで某大学入試の英作文問題の解答案を投稿したところ、英作文の内容に関してある事ない事さまざまな批判が寄せられ、アカウントの一時停止まで追い込まれました。
また有名な英語学習系Youtuberである”もりてつ”氏においても他の予備校講師からと思われる誹謗中傷や営業妨害を受けた経験があると語っています。
中には「自分は彼らみたいな有名なインフルエンサーではないから関係ない」と思う人もいるかもしれませんが、SNSを続けている以上は無関係ではありません。
どんな人であってもSNSを続けていれば批判を受ける可能性はありますし、他の人との炎上や論争に発展するかもしれません。
なによりこれらの論争や炎上に参加したところで、彼らの英語力は一ミリも向上しないでしょう。まさに時間と精神的体力の無駄遣いです。
デメリット③ 偏った勉強法を妄信してしまう可能性がある
SNSで情報発信をしている人は限られた文字数や枠で読者(フォロワー)を引き付ける文章を書く必要があります。そのような状況では、どうしても過激な内容や誇張したフレーズを使わざるを得ません。
そのため本やブログと比較して、読者が偏った勉強法を信じてしまう可能性が出てくるのです。
例えば幼少期から英語圏の国に滞在しており、日本に帰国してから半年だけTOEICの勉強をして950点を取った人が情報発信をするとします。
この人の場合「長年の英語経験でTOEICの点数が上がりました」と書くよりも、「半年でTOEIC950点取れました!」とか書いた方が、間違えなくフォロワーを引き付けることができるでしょう。
しかしながら読み手としては少し勉強すればTOEICで高得点が取れると勘違いしてしまう可能性があるのです。
残念ながら発信内容だけでは発信者のこれまでの人生経験(海外経験の有無)や基礎学力など英語力を支えるさまざまなバックグランドをすべて理解することは出来ません。
日本にずっと住んでいた人が、英語圏で何年も生活してきた帰国子女の真似をするだけで、彼ら彼女らみたいに英語が流暢に話せるようになると信じてしまうようなものです。
このようなSNSの特性により、英語学習の情報収集にSNSを使いすぎると、読者が都合よく偏った情報や勉強法を信じてしまう可能性があるのです。
英語学習においてSNSは必要最低限にすべき
結論としては、英語学習でSNSを見る時は、自分の気になるコンテンツを少し見るだけにとどめることを強くおすすめします。
もちろんSNSで他人の投稿内容の細かいあら捜しをしたり、各種試験を延々と比較することを続けても英語学習にとって何一つ良い事はありません。
一番良い方法は本を読むこと
英語学習にSNSを使うことも悪くないですが、やはり本から情報を手に入れた方が良いという言葉は、ビジネスの世界だけではなく、英語学習においても同じです。
本はSNSとは異なり情報が断片的ではないため、学習において偏りが生じにくい上、書かれている内容が一番重要なため、著者に対して嫉妬してしまうようなことは非常に少ないでしょう。
つまり本には英語学習を妨げる余分な要素がないのです。