2023年11月19日に第35回英単語検定が開催されましたが、1級の内容がこれまでの出題傾向とは大きく異なり大幅に難化したことがX(旧Twitter)で話題になっています。
実際の出題内容を確認したところ、英検1級レベルを大きく超える難単語が数多く出題されていることが判明したので、当記事ではこれまでの出題範囲との違いと今後求められる対策について解説します。
結論から申し上げると究極の英単語Vol.4の暗記のみでの合格はほぼ不可能になっており、もはや別物の試験内容になってしまったといっても過言ではありません。
英単語検定とは?
英単語検定とは日本英会話協会が主催する英単語の知識のみを問う英語試験です。年2回実施されており学生から大人まで幅広い年齢層が受験しています。試験のレベルは小中学生レベルの5級からネイティブレベルとされる1級まであります。
特に1級はある程度英語力に自信がある人が力試しとして受験するケースが多く、過去の試験では実際の合格率が50%以上と高くなるケースもありました。(公式発表では21%)
英単語検定の出題内容
英単語検定の公式情報
英単語検定は級によって難易度や受験料が異なります。各級の基本情報は以下の表の通りです。
レベル | 語彙数 | 合格率(公式) | 受験料(一般) | 受験料(団体) | |
5級 | 中学校低学年 | 400語 | 92% | 4000円 | 2000円 |
4級 | 中学校高学年 | 800語 | 81% | 4000円 | 2000円 |
3級 | 中学校卒業 | 1200語 | 54% | 4500円 | 2500円 |
準2級 | 高校社会人 | 2200語 | 41% | 4500円 | 2500円 |
2級 | 高校卒業 | 2600語 | 39% | 5000円 | 3000円 |
準1級 | 大卒・社会人 | 7300語 | 32% | 5000円 | – |
1級 | ネイティブ | 12000語 | 21% | 5500円 | – |
第34回までの英単語検定1級の出題傾向
英単語検定1級の出題傾向として第34回(2023年6月)までは究極の英単語(SVL)のVol.4から出題されていました。
詳細についてはえいらく様のブログ「英単語検定1級の難易度と対策: とにかく究極の英単語Vol.4!」において詳しく説明されています。
これまでの出題との相違点
第35回英単語検定では、第34回以前とは異なり究極の英単語(SVL)に掲載されている単語以外から多数出題される傾向にありました。以下の表の通り、正解の英単語100個の内、究極の英単語に掲載されていない英単語は72個あり、異なる品詞では掲載されている単語を除いても69個でした。
SVL別において第35回英単語検定1級に出題された正解の単語100個の実際の分布は以下の通りでした。
この表を確認すると、これまでの英単語検定と出題傾向の違いが一目で分かります。
SVL | 単語数(第35回) | 単語数(過去※) | 単語例 |
9以下 | 1(2) | 0 | curfew(門限) quartz(石英) |
10 | 2(2) | 25 | veto(拒否権) terminus(終点) |
11 | 9(10) | 34 | innocuous(無害の) coy(内気の) |
12 | 16(17) | 40 | thrash(もがく) languid(気だるい) |
範囲外 | 72(69) | 1 | – |
※えいらく様のブログ「英単語検定1級の難易度と対策: とにかく究極の英単語Vol.4!」における第34回以前の過去問4回分の正解の英単語のレベル分布の平均値を引用
SVLリスト外の英単語のレベルは非常に高く、正解の英単語100個のweblioにおけるレベル13以上の単語は68個、レベル記載の無い単語(レベル30超の超難単語)も5語ありました。本当の意味でネイティブでも聞き慣れない英単語も含まれていると考えてもよいでしょう。
Weblioの学習レベル別において第35回英単語検定1級に出題された正解の単語100個の実際の分布は以下の通りでした。
Weblioの学習レベル | 単語レベルの目安 | 単語数 | 出題例(第35回) |
12以下 | 英検1級の正解単語 | 32 | epitome(典型の) coerce(強制する) |
13~16 | 英検1級の不正解単語 | 23 | girth(腰回り) pilfer(くすねる) |
17~20 | GRE出題 | 23 | pumice(軽石) ambrosia(美味な物) |
21~30 | ネイティブ(社会人) | 17 | risible(笑い性の) ischium(座骨) |
レベル記載なし | ネイティブ(教養あり) | 5 | etiolate(青白くする) |
もはやどの単語帳を使えば学習できるのか疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今後の対策について
第36回以降の英単語検定の出題傾向がどのように変化するか不明な点が多くありますが、今後は究極の英単語Vol.4やパス単に記載される英単語を知っているのは当然のこと、一部GREや国連英検特A級で出題されるような英単語についてもある程度覚えておかなければならないでしょう。
また英単語検定には過去問も販売されていますが、もはや第34回以前の過去問は当てになりません。少なくとも第34回以前の過去問で満点近く取れるレベルにないと今後の英単語検定に合格することは極めて困難でしょう。
GREや国連英検特A級レベルの英単語を覚える方法については以下の記事も参考にして下さい。
まとめ
従来の英単語検定は非公式ですが範囲が明確に決まっており、英検1級に合格できる英語力を持つ人であれば比較的スムーズに合格することが出来ました。
しかし新しい英単語検定は範囲も不明確な上、難易度も大幅に高くなっていることから合格に向けては複数の英単語帳(日本語・洋書の両方)を使いこなすなど長期的な単語学習が必要不可欠です。