英会話を早く上達したい人は「英会話でよく使う文法」を意識しよう!

私たちが英会話の学習法について調べるとき「英会話における文法学習の必要性」に関する議論を目にすることが多いと思います。

例えば、以下のように英会話においては細かい文法はあまり必要がないと意見があります。

文法いらん派1
文法いらん派1

英会話を話すためには文法なんかより慣れが大切だわ!

文法いらん派2
文法いらん派2

日本人は難しい文法ばっかりこだわるから英語が話せないんだよね
英会話なんて中学レベルで全然OKでしょ!

一方で以下のように文法を重要視する意見を持つ人もいることでしょう。

文法Lover
文法Lover

ある程度まともなことを話すためには文法はマストですよ!

残念ながら私たちがこの議論に結論を出すことは不可能であると言わざるを得ません。

なぜなら英文法学習の必要性の程度は英語を話したい人が持っている基本的な文法のスキル英会話の目的によって大きく異なるからです。

例えば、すでに難関私大に合格する英語レベルにある人が海外旅行やワーキングホリデーでカジュアルに英語を使いたいのであれば、それほど英文法に時間を使う必要はないでしょう。

一方で今は中学文法の知識すらあやふやだが、将来はニューヨークタイムズや日経新聞に書かれているような難しいニュースについてネイティブと熱い議論を交わしたいのであれば英文法の学習に多大な労力を費やすべきです。

しかしながらここで考慮すべき一つの事実があります。

それは「英会話を楽しみたい人が優先して学ぶべき文法事項」と「正直に言って後回しでいい文法事項」があるということです。

大学受験やTOEICではその性質上ほぼすべての文法事項がバランスよく問われる場合が多いですが、英会話においては「英会話でよく使う文法」を優先的にマスターすることが上達の近道です。

当ブログでは英会話を早く上達したい人がまず初めに学ぶべき文法について徹底解説します。

特に「できるだけ早く英会話を学ぶ必要がある人」や「学校で様々な英文法を学んだが英会話になるとそれが口に出てこない人」にはぜひ読んでほしい記事となっています。

とにかく中学文法は必須!

どんな目的で英会話を学習する場合でも、中学で習う文法は一通り復習することはほぼ必須です。

なぜならば中学レベルの文法を知らないと、最低限意味が通じる文を作り出すことが困難になるからです。

2025年度現在中学で習う英文法として以下のような内容が挙げられます。※学習指導要領に基づく

★中学校で習う文法の例(2025年度現在)

・重文、複文、疑問詞
・主語+be動詞以外の動詞+名詞or形容詞
・動名詞、to不定詞、how toの文
・第4文型(S+V+O+O)の一部
・it is 形容詞 for 名詞 to doの文
・現在形、過去形、現在進行形、過去進行形、現在完了形、現在完了進行形
・受け身、仮定法の一部

このような文法も中学英語の範囲です!

以前は高校の範囲であった「仮定法」や「使役動詞」も現在では中学文法の範囲になっています。

・仮定法

If I were rich, I would travel around the world.
(もし私が裕福だったら、世界中を旅行するのに。)

・使役動詞

I saw him leave the room.
(私は彼が部屋を出るのを見た。)

・現在完了進行形

She has been working at this company since 2015.
(彼女は2015年からこの会社で働き続けている。)

中学の英文法は意外と範囲が広いことが理解できたと思います。

英会話に頻出の文法とは?

ここからは高校で習う英文法の中から、「英会話で優先すべき文法」「中級者以上に必要な文法」「後回しでよい文法」の3つに分けて紹介します。

英会話で優先すべき文法(高校レベル)

  • 助動詞used to(よく~したものだ)
  • 助動詞+have+過去分詞
  • 関係代名詞what
  • 関係代名詞の省略
  • 前置詞の知識

英会話に慣れた中級者以上に必要な文法

  • 過去完了形
  • if it were not forやas ifを使った仮定法
  • 基本的な形式主語
  • 比較の慣用表現(一部)

後回しでよい文法

  • 分詞構文
  • 強調・倒置・挿入・省略・同格
  • 間接話法

①英会話で優先すべき文法

これらの英文法は高校で習うものの内、英会話でよく使う文法になります。また前置詞は使い方を間違えると意味が大きく変わってしまうのでこちらで取り上げます。

助動詞…used to/助動詞+have+過去分詞など

助動詞と言えばcanやmustなどがありますが、高校で習うused toや助動詞+have+過去分詞などの表現も英会話ではよく使います。

used to”は「過去の習慣」を述べるのに便利な表現で、「昔はよくキャッチボールをしていたものだよ」などと言いたい時に便利です。

I used to play soccer every weekend when I was a child.
(子どもの頃、毎週末サッカーをしていた。)

助動詞+have+過去分詞は過去の出来事に対して推測したり批判したりするときに使います。「あの時もっと勉強していれば」とか「試験前にゲームをするべきではなかった…」とか言いたい時に便利です。

She must have forgotten her phone at home.
(彼女は家に電話を忘れてきたに違いない。)

I shouldn’t have eaten so much cake.
(あんなにケーキを食べるんじゃなかった。)

関係代名詞…what/関係代名詞の省略

中学校でもwhichやwhoを使った関係代名詞を習いますが、実際の会話では関係代名詞を省略することが頻繁に行われています。

That’s the book (which) I was talking about.
(それが私が話していた本だよ。)

またはwhat+S+V(~こと)を使った表現も英会話でよく使います。whatは”the things that“と言いかえることが出来ますが、自然な会話ではwhatを使うことの方が多いです。

I don’t understand what you mean.
(あなたの言っていることが分からない。)

前置詞

前置詞には意味が似ているものが複数ありますが、前置詞を使い間違えると誤解を招いたり意味が通じないケースがいくつかあります。

ここでは前置詞によって意味が変わってしまう具体例を紹介します。

例えばbyとuntilは「~まで」と似たような意味を持っていますが、byは「具体的な期限」を示し、untilは「その時間まで持続する」ことを示します。

下記の2つの文はbyとuntilを使ったものですが、両者を混同してしまうと、「金曜日までずっとレポートを終わせ続けている」といった違和感のある表現になってしまいます。

I’ll finish the report by Friday.(金曜日までにレポートを終わらせる。)
I’ll be here until Friday.(金曜日までここにいる。)

前置詞の使い分けは多くの日本人が苦手な上、TOEICの文法問題でもよく出題されますので、代表的な前置詞についてはしっかり復習しておきましょう。

②英会話に慣れた中級者以上に必要な文法

初心者が優先して覚える必要はないものの、中級レベル以上でもう少し複雑な内容を話したい人は以下の文法を勉強することをおすすめします。

完了形…過去完了形

完了形は自分の経験や過去の話について話すために必須の文法です。中学校でも完了形の基本的な部分は習いますが、高校で習う過去完了形も合わせて覚えると表現の幅が広がります。

ただし近年、ネイティブスピーカー同士のカジュアルな会話では過去形と過去完了形を区別しないケースも増えています。

By the time she arrived at the station, the train had already left.
(彼女が駅に着いたときには、電車はすでに出発していた。)

仮定法…if it were not forやas ifを使う表現

if it were not for(もし~がなければ)

「もし○○が無ければ…」と言いたい時に使う慣用的な表現です。○○には具体的な名詞だけではなく「あなたの助言」など抽象的な名詞も当てはまります。

If it weren’t for coffee, I couldn’t survive my mornings.
(コーヒーがなかったら、朝を乗り切れないよ。)

過去の事を述べる時はif it had been not forになります。

If it hadn’t been for your advice, I would have made a mistake.
(君のアドバイスがなかったら、間違えていただろう。)

同じような意味でwithoutやbut forなどがあります。withoutはやや使う頻度が低く、but forはフォーマルな表現で英会話ではあまり使われないようです。

as if(まるで~のように)

as ifは「まるで○○のように」と言いたい時にに使う表現です。

She acts as if she knew everything.
(彼女はいかにもすべてを知っているかのように振る舞う。)

基本的な形式主語

主語が長くなりそうなときは、基本的な形式主語を使うことでよりスマートな表現になります。

“It takes 時間 to do”(~するのに時間分かかる)や”It costs 金額 to do”(~するのに金額分かかる)は形式主語の中でも最も頻度に使われる表現です。

It takes 10 minutes to walk to the station.
(駅まで歩いて10分かかる。)

“It is said that(~と言われている)”も会話の中でよく使う表現です。

It is said that this temple is over 1,000 years old.
(この寺は1,000年以上の歴史があると言われている。)

形式主語については文法の名前を覚えるより例文そのものをテンプレートとして覚えた方が英会話に役に立つことでしょう。

比較の慣用表現(一部)

比較表現の慣用表現の一部は英会話でよく使うため。基本的な比較級や最上級と一緒に覚えていると便利です。

例えば”the 比較級~, the 比較級~”は「○○なほど、△△になる」という意味であり、意見や現状を述べる時に使える表現です。

The earlier you start, the better your results will be.
(早く始めれば始めるほど、結果は良くなる。)

③英会話であまり使わない文法とは?

これまで英会話で使える文法事項を紹介しましたが、ここからは学習する優先順位が低い文法について紹介します。

これらの英文法は英会話(口語)ではあまり使われなかったり、内容が複雑で自分にも聞き手にも混乱を招きやすかったりする表現です。

分詞構文

分詞構文をマスターすることで、自分の言いたい事について補足説明を加えることが出来、より細かい事を伝えることが可能になりますが、会話ではAfterやBecauseなどの接続詞を省略しない形が多く、覚える優先順位は低いです。

Having finished his homework, he went out to play.
(宿題を終えたので、彼は遊びに出かけた。)

強調・倒置・挿入・省略・同格

これらの表現は主に文語(書き言葉)で使われることが多く、英字新聞や一定レベルの洋書に対する解像度を高めたい人が学ぶべき表現です。

またネイティブスピーカー同士のカジュアルな会話では挿入や省略が自然と使われているケースもありますが、私たち英語学習者が使いこなすには中々負荷が高いと思います。

[倒置]Never have I seen such a beautiful sunset.
(こんなに美しい夕日は見たことがない。)

[同格]My dream, to become a doctor, requires a lot of hard work.
(私の夢、医者になることは、多くの努力を必要とする。)

間接話法

高校英文法では間接話法と直接話法の言い換えが登場しますが、現代においては英会話でも直接話法を使うことが多いため、間接話法を理解して使いこなす優先度は高くありません。

簡単な間接話法は英会話でも使うことがありますが、直接話法と間接話法では時制や主語が変化することが多いため初心者にとって正しく使い分けるハードルは高いです。

[直接話法] She said, “I have finished my work.
[間接話法](少し不自然) She said that she had finished her work.
[自然な会話] She said she finished her work.
(「that」や「had」を省略することが多い)

まとめ

今回は英会話で優先して覚えるべき文法事項について紹介しました。英会話で一通りの事を話せるようになるためには一般的には「中学レベル+高校レベルの一部(英会話でよく使うもの)」の英文法を復習することをおすすめします。

また英会話で使えるようになるには、単純に文法事項を暗記するだけではなく、自分の言いたい事と文法を結びつける習慣が大切です。

例えば「もしも一生懸命勉強していたら、試験に落ちていなかったのに…」と言いたい時は「仮定法」を使えばいいと頭の中でリンクさせるイメージです。

優先して覚えるべき英文法とその活用方法について意識することで、英会話における表現力を効率よく高めることができるでしょう。

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