ほとんどの日本人にとって英語は「外国語」です。そのため日本語と英語には文法から単語の使い方まで大きな違いがあります。
これらの違いは時には、日本人がネイティブスピーカーに伝わりにくい英語表現を使ってしまう原因にもなります。
英語は母国語でない以上少しの間違いは許容されるべきですが、時には相手に誤解を招いたり、英作文などで減点になる場合もあるため、出来るだけ修正していきたいものです。
今回はDavid Barker著の「An A-Z of Common English Errors for Japanese Learners」から日本人はよく使いがちだが、ネイティブスピーカーにとって不自然に聞こえる英語表現の一部を紹介します。
正しい英語表現を学ぶことで、より自然な英語を話したり書いたりすることができるようになるでしょう。またTOEICや大学入試などのテストでも周りと差をつけることができるかもしれません。
どうして私たちは不自然な英語を使ってしまうのか?
不自然な英語を使ってしまう一番の原因は日本語(母国語)の直訳にあります。
日本語にある表現をそのまま英語に置き換えようとすることで、ネイティブスピーカーにとって不自然に感じる表現が生まれてしまいます。
日本語特有のカタカナの表現も不自然な英語の原因になっています。例えば日本語の「アンケート」は英語だど”Questionnaire“ですが、もしそのまま”I answered a “アンケート”と言ってしまうとネイティブスピーカーは混乱してしまうことでしょう。
また日本語と英語には文法面で大きな違いがあります。例えば日本語には冠詞(aやtheのこと)の概念がないため、どうしてもネイティブスピーカーの様に冠詞を使いこなすことができません。
ネイティブスピーカーが不自然に聞こえる英語表現
ここからは具体的にネイティブスピーカーにとって不自然に聞こえる英語表現を分野別・場面別にまとめて紹介します。
もし自分もこれらの表現を使っていると感じた人は、少しずつでもその表現を修正する意識を持つと、あなたの英語がよりネイティブスピーカーの表現に近づくはずです。
①基本文法編
基本文法については中学や高校でしっかりと習ってきたという方でも、実は英会話や英作文になるとおかしな使い方をしているケースが見られます。なぜならば一見文法的には正しいように見えて実は変に聞こえる場合があるからです。
「私は最近忙しい」と言いたい時
× I am very busy recently.
○ I have been very busy recently.
〇 I am very busy these days
どうして”I am very busy recently”は間違っているのと疑問に思われた方も多くいると思いますが、ここで注目したいのはrecentlyという副詞です。
実はrecentlyは「近い過去から今まで」という期間を示す副詞で現在完了形と相性が良い表現なのです。そのため「このごろ忙しい」と言いたい場合はrecentlyの代わりにthese daysを使うことをおすすめします。
関係代名詞 whichかwhereのどっちを使う?
私は京都に行きました。そこにはたくさんの古い建物がありました。
× I went to Kyoto, where has a lot of old buildings.
○ I went to Kyoto, which had a lot of old buildings.
〇 I went to Kyoto, where there are a lot of old buildings
街など場所の名前について関係代名詞を使う時、その関係代名詞が次の動詞の主語になる場合は、whereではなくwhichを使います。関係代名詞の後に別の主語が来る場合はwhereになります。

②冠詞・名詞編
冠詞や三単現の使い方は多くの英語学習者にとって大きな課題になっています。TOEICで900点を超える英語上級者の方であっても、実際に英会話をしてみると、時々冠詞が抜けていたりすることも良くある話です。
Everyoneは単数扱い?複数扱い?
みんながとても幸せでした。
× Everyone were very happy.
○ Everyone was very happy.
Everyoneは「みんな」という意味だから複数扱いだと勘違いしてしまう人がたまにいます。
Everyoneが複数扱いではなく単数扱いになる理由は、Everyoneが「複数の個人」ではなく「一つの集合体」を示す単語だからです。
Everyone以外に同様の集合体を表す他の単語には “everybody“, “someone“, “anyone“, “nobody” などがあります。
Everyoneなどの単数扱いになる名詞はTOEICの文法問題で時々出題されるので十分注意しましょう。
「私は犬が好きです」と言いたい時
× I like dog.
○ I like dogs.
likeやhateはよく使う単語ですが使い方に注意が必要です。基本的にlikeやhateに続くは目的語は「複数形」になります。もし”I like dog”のように言ってしまうと「犬の肉を食べるのが好き」という意味になってしまいます。

「朝食」には”a”を付ける?付けない?
私は昨日大盛の昼食を食べました。
× I had big lunch yesterday.
○ I had a big lunch yesterday.
breakfastやlunchには冠詞を付けないのではないのと思った方は要注意です。基本的にこれらの単語には冠詞は付きませんが、前に形容詞(bigやsmallなど)が付いたときは例外的に冠詞が必要になります。
単独では冠詞が付かないが、形容詞が付くと冠詞が付く単語の例:
breakfast/lunch/dinner/school/class/homework など
(例文) I finished a challenging homework last week.
③自己紹介編
ここでは英語で自己紹介をするときに気を付けたい表現をまとめました。よく使う単語や表現にもかかわらず間違った言い方をしているかもしれません。
「4人家族です」と言いたい時
× My family is four people.
○ There are four people in my family.
「私の町は○○で有名です」と言いたい時
△ My town is famous for onions.
○ My hometown is known locally for onions.
”be famous for”は会話に参加しているみんなが知っているものを示すときに使われるようです。地元の間で有名なものを示すときは”be known locally for”の方が自然です。
④間違えやすい単語の使い方編
ほとんどの日本人が聞いたことがある英単語だが、英会話で使う時には用法に気を付けるべき表現がいくつかあります。
「私の近所には自然が沢山あります」と言いたい時
× There is a lot of nature in our town.
○ There are a lot of trees and fields in our town.
「自然が沢山ある」という時はついつい直訳して”nature”を使いたくなりますが、ネイティブスピーカーにとっては違和感を感じるようです。なぜならば”nature”は自然全体を示す概念であり、具体的に数えられる名詞ではないからです。
自然が多いと言いたいときは具体的な物(treeやfieldなど)を述べた方が自然に聞こえます。
日本語の「スタッフ」と英語の”Staff”は意味が少し違う?
そのスタッフたちはとても親切でした。
× The staffs were vey kind.
○ The staff was(were) very kind.
英語の”staff”は「従業員」という意味ですが、日本語のように「会社や組織の一員」という使い方はできません。また”staff”そのものが複数の人々を示すので”staffs”のように複数形にすることは出来ません。
「スタッフにお声をおかけください」という時の「スタッフ」も”a member of staff”よりも”a person of restrant”や”a sales clerk”と言う方が一般的です。
⑤日常会話編
日常会話で頻繁に登場する表現だが、私たちがよく間違えて使いがちな表現をまとめました。自己紹介などで使う頻度が高いのでしっかりと正しい表現を理解しておきましょう。
「○○できて嬉しい」と言いたい時
テストに合格できて嬉しい。
× I am glad to pass the test.
○ I am glad that I passed the test.
”I am glad to hear that”などという様に”be grad to do”にしたくなりますが、gladの後にto doが続くのはmeetやseeなど一部の動詞だけです。
基本的にはgladの後には節(主語+述語)が続きます。そのため以下のような文が正しい使い方になります。
I am glad that you liked the candy.
I am glad that he didn’t buy that textbook.
「私は体重を落としたい」と言いたい時
× I want to lose my weight.
○ I want to lose weight.
”weight”の後にmyやyouなどの所有格は不要です。体重が増えるは”put on weight“や”gain weight”と言います。
「体重を測る」と言いたい時や「自分の体重」を示すときは動詞の”weigh”を使うことをおすすめします。
「欠席する」と言いたい時
私は来週欠席する予定です。
× I will absent next week.
○ I will be absent next week.
日本語の「欠席する」は動詞として使うため、英語の”absent”も動詞のように使ってしまいがちですが、“absent”は形容詞なので前にbe動詞が必要です。
⑥ビジネス英会話編
ビジネスシーンの英会話で日本人がよく勘違いする表現を紹介します。外国人とのビジネスの現場では英会話でその人の能力を値踏みされている場合もあるので、出来るだけ相手に失礼なくかつ意味が的確に伝わる表現を意識しましょう。
会う約束をしたい時
私は友人に会う約束をしています。
× I have an appointment with my friend.
○ I have made plans to meet my friend.
“appointment”は美容院、弁護士、仕事関係の相手に「電話をして取る予約」という意味なので、友達・家族との約束などについては使えません。
「お客様」は英語で何という?
何人かの外国人のお客様が私たちのレストランを訪れます。
△ Some foreign guests came to our restaurant.
○ Some foreign customers came to our restaurant.
”guest”は基本的にお金を払っていないお客のことを示すので、カフェやレストランなどのお客さんをいう時には少し不自然です。
お金を払っているお客さんには”customer”を使う方が自然です。
また弁護士の依頼人など専門職の職業の顧客を示すときは”client”を使いましょう。
⑦こんな英語は存在しない編
日本語の表現をそのまま英語に直すとネイティブスピーカーには意味が伝わりにくい表現をまとめました。なんでも日本語から直訳するのではなく、英語における正しい表現を学ぶ意識が大切です。
「半年」と言いたいときはどうする?
私はオーストラリアに半年いました。
× I was in Australia for a half year.
○ I was in Australia for six months.
英語で「半年」と言いたい時は慣習的に”a half year”とは言わず”six months”と言います。「一年半」と言いたいときは”a year and a half”とも言いますが、”eighteen months“と言うことも多いです。
私は北海道に二年半住んでいたことがあります。
× I have lived in Hokkaido for two years and half.
○ I have lived in Hokkaido for two and a half years.
「二年半」という時は”two and a half years”と言いますが、語順には気をつけましょう。
「彼はテンションが高い」と言いたい時
× He was high tension.
○ He was very excited.
日本語でいう「ハイテンション」や「ローテンション」は完全な和製英語なので、ネイティブスピーカーに使っても頭をかしげてしまうことでしょう。

ハイテンション?「高い緊張」って何のことなんだろうなぁ…
⑧混同しがちな英単語編
最後に意味が似ているため日本人には意味が混同しがちな英単語を紹介します。このような英単語は日本語訳だけを見ても違いを理解するのが難しい場合があるため、時には英英辞典を使うことも大切です。
know VS understand
その男は彼女がどこにいたのか知りませんでした。
× The man did not understand where she was.
○ The man did not know where she was.
「わかる」には”understand”と”know“の二つがありますが、”I don’t know”は「あなたが何を言っているか理解できるが、答えが分からない」時に使い、”I don’t understand”は「あなたが何を言っているか理解できない」という時に使います。
サンドイッチマンのネタの「ちょっと何を言っているか分からない」というツッコミを英語にすれば”I don’t understand what you are saying.”となるのです。
trust VS believe
彼女の夫はオンラインストアを信用していませんでした。
× Her husband did not believe the online store.
○ Her husband did not trust the online store.
“believe“は「言われたことが真実だと信じる」という意味なので、人などを信じるという時は”trust“を使う方が適切です。
まとめ
David Barker著の「An A-Z of Common English Errors for Japanese Learners」には他にも日本人がよく間違える英語の表現について100個以上紹介しています。
今回紹介した例以外に日本人が気を付けるべき英語のミスを知りたい方はぜひこの本を読んでみることをおすすめします。
正直に言って、私自身もこの本を読みながら「自分も間違えて使っていた表現がいくつもあったな」と思い返しているところです。
英会話でミスの気にしすぎはやめましょう!
今回は英作文や英会話で日本人がよく間違える表現をまとめましたが、英会話の中でこのようなエラーを気にしすぎるあまり、言葉が出てこないのは逆に良くありません。
外国人も日本語を覚える時は、「てにをは」や単語の使い方に関して何回も間違いを繰り返すことでだんだんと違和感のない日本語が話せるようになっています。
まずは多少間違えてもいいからチェレンジしてみるという心構えを忘れないようにしていきましょう!