2024年度から英検の出題が大幅リニューアル!変更内容&今から出来る対策【ライティングの勉強量が大幅拡大へ】

英検を利用したい高校生
英検を利用したい高校生

2024年度からまた英検が難しくなると聞いたよ。

英検1級を受験する予定の人
英検1級を受験する予定の人

早く合格しないと英検1級の合格がさらに難しくなってしまうなぁ

2023年7月6日に日本英語検定協会は2024年度から1級から3級の出題内容を一部リニューアル(変更)するとの発表を行いました!

リニューアル以降の英検を利用して大学受験に挑む予定の高校生や、将来英検1級・準1級を受験したい人にとっては大きな不安を抱く人も多いかもしれません。

今回は英検出題リニューアルの具体的な内容と今から出来る対策について考えていきましょう。

※(続報)2023/11/29 リニューアル後の問題数が公表されました。12月7日に英検特設サイトでさらに詳しい情報が発表される予定であるため、続報を待ちましょう。

出題内容リニューアルの詳細

出題変更のメインは4技能の中の「ライティング」スキルです。一言でいえばライティングの出題が1問から2問に増加して、その分リーディングの出題の削減や試験時間の延長が行われます。

詳細は以下の通りです。

1級・準1級・2級

英検1級・準1級・2級では従来の自由英作文問題と共に、新たに英文の「要約」問題が追加されます。

1級・準1級・2級では「要約」問題が追加された代わりに、リーディングの問題数が減少します。試験時間には変更はありません。

リニューアル後のリーディングの問題数として、「要約」問題に解答するために必要な時間である15~20分に相当する分量が削除されることが発表されています。

1級では大問1の語彙問題が25問から22問に減少、大問3の長文読解が1つ削除されます。
準1級では大問1の語彙問題が25問から18問に減少、大問3の長文読解が1つ削除されます。
2級では大問1の語彙問題が20問から17問に減少、大問3の長文読解が1つ削除される事が明らかになりました。

上位級になるに従い、要約問題の分量に対してリーディング問題の削除の比率が小さくなり、より試験時間がシビアな試験になることでしょう。

対象級 リーディング ライティング その他 試験時間
1級 問題数一部削減
41→35問
大問1 3問削除
大問3 3問削除
(No.32~34)
要約」問題追加
90~110語
変更なし(100分)
準1級 問題数一部削減
41→31問
大問1 7問削除
大問3 3問削除
(No.32~34)
要約」問題追加
60~70語
受験者の意見を問う問題(No.4)で意見導入文追加 変更なし(90分)
2級 問題数一部削減
38→31問
大問1 3問削除
大問3B 4問削除
(No.30~33)
要約」問題追加
45~55語
変更なし(85分)

準2級・3級

英検準2級・3級では従来の自由英作文問題と共に、新たに「Eメール」作成問題が追加されます。

準2級ではリーディングの問題数が減少し試験時間が5分延長されます(75分⇒80分)。3級では問題数の変更はなく試験時間が15分延長されます(50分⇒65分)。

準2級のリーディングでは大問1の語彙問題が20問から15問に減少し、大問3の長文読解の一部(3B)が削除されます。

対象級 リーディング ライティング その他 試験時間
準2級 問題数一部削減
37→29問
大問1 5問削除
大問3B 3問削除
(No.28~30)
Eメール」問題追加(40~50語 75分⇒80分
3級 変更なし Eメール」問題追加(15~25語 50分⇒65分

出題リニューアルに関する気になる質問

ライティングの配点はどうなるのか?

「要約」問題/「Eメール」作成問題と従来の「自由英作文」問題の配点は1:1になる予定である。(※英検リニューアル説明会で発表あり)

サンプル問題の模範解答の公表や解説はあるのか?

2023年12月7日に出題リニューアルに関する特設サイトが開設予定であり、模範解答や評価の観点なども当該サイトに記載される予定である。

英検の出題が変更される理由とは?

ライティングのスキルを適正に評価したいから

今回出題内容を一部変更する理由として英検協会が受験者のライティングのスキルをより適正に評価したいという意図があります。これは2023年8月31日に英検協会がアップロードした安河内先生による解説動画でも説明されています。

これまでの英作文問題に加え、要約問題やEメール問題など別の観点からもライティングスキルを問うことで、より公平な評価が行えると考えられます。

本当はライティングだけ勉強して合格する人を減らしたいから?

ここまで公式から発表された理由について説明しましたが、本音としてはライティング対策に集中することで、本来受験した級が求める英語力を持たない人でも比較的容易に合格してしまう現状を変えたいと考えられます。

これは英検に関わってきた教育業界の方であれば何となく察しが付いたことでしょう…(汗)

実際に学校や塾で英語の指導をしている教師から話を聞いたところ、語彙やリスニングは半分くらいしか得点できない実力にも関わず、英検向けの英作文の指導をすることで受かってしまう生徒が多く出ているそうです。

特に英検準2級や3級においてはライティングの語数も少なく、出題されるテーマも限りがあるため、半ばテンプレ的な作文であっても簡単に高得点を取れる人も多いのが実情です。

英検協会は、ライティングに要約問題やEメール問題が追加されることで、より真剣にライティング対策を行う人が増加することに加え、ライティングだけではなくリーディングやリスニングもバランスよく学習しようと考える受験者も増えることを期待していることでしょう。

リニューアル後の問題への対策について

現在日本英語検定協会では公式Youtubeに安河内哲也先生によるリニューアル後のライティング新形式問題の解説をアップロードしています。動画内で詳しく解説されている問題は2級の要約問題と準2級のEメール問題のみですが、他の級にも応用可能な知識がしっかりと説明されています。

【特別講義】英検を活用して4技能を伸ばそう!ライティング新形式で書く力を育てる方法(安河内哲也先生)

要約問題(1級・準1級・2級)の対策

要約問題を解く上で必要な対策として安河内先生は以下の3つを挙げています。

  1. 文章で伝えているメッセージを捉える。
  2. パラグラフ毎の重要なポイントを盛り込む。
  3. 具体的表現を抽象的表現にまとめる。

それぞれの対策についてもう少し詳しく説明します。

1. 文章で伝えているメッセージを捉える。

「要約」問題は従来の「英作文」問題と異なり若干の英文読解力が求められます。特に1級のサンプル問題はちょっとした読解問題として成り立つくらい趣旨を把握するのに時間が掛かりそうです。

すばやく要約文の作成に取り掛かれるように英文の読解力も鍛える必要が出てくるでしょう。

2. パラグラフ毎の重要なポイントを盛り込む。

英検の長文は基本的にパラグラフ毎に伝えたい事がまとめられています。例えば準1級と2級の「要約」問題では3つのパラグラフが「導入」⇒「ポジティブな意見」⇒「ネガティブな意見」と明確に分かれています。

そのため、要約文を作成するときは、それぞれのパラグラフで重要なポイントを過不足なく盛り込むことが重要となります。

3. 具体的表現を抽象的表現にまとめる。

安河内先生の解説動画では2級のサンプル問題に記載されている「他の生徒から宿題を手伝ってもらうことや語学学習の話し相手になってもらう」という具体的表現を「助けてもらう」(get help from their students, such as…)という抽象的表現に書き換えています。

抽象的表現に慣れるためには、普段の英文読解においてパラグラフに書かれていることを一言で表現するならどの単語を使えばいいか考える習慣を持つことです。つまり普段から類義語に意識を向けることをおすすめします。

例えば「彼女は朝起きてから夜寝るまで子供の食事の用意からおむつ替え、遊び相手までしてとても慌ただしい」と書いてあれば「彼女は子供の世話で忙しい」と言い換えられます。

Eメール問題(準2級・3級)の対策

Eメール問題を解く上で重要な対策として安河内先生は以下の3つを挙げています。

  1. 指示をよく読んで厳守する。
  2. 「問題文に書かれた」タスクをこなす。
  3. 相手のメールへの質問に答える。

それぞれの対策についてもう少し詳しく説明します。

1. 指示をよく読んで厳守する。

従来の「英作文」問題と異なり、Eメール問題は英文の前に指示文があります。準2級の英作文では「外国の友人(Alex)からのメールであること」「メールの内容に対して40~50語で返信すること」「メールについて2つ質問をすること」などの指示があります。

 これらの指示に過不足なく解答できたか確認する必要があります。学校の定期テストなどでケアレスミスが多い人は要注意です。

2.「問題文に書かれた」タスクをこなす。

準2級のサンプル問題では「メールの下線部(A Robot pet)について2つ質問をすること」とのタスクがあります。このタスクを守らないと最悪0点になってしまう可能性があります。

本試験のタスクはサンプル問題と傾向が異なる可能性もあるため、思い込みで取り組まず必ず問題文を読み込む習慣を身につけましょう。

準2級では語数制限の関係からタスクに割ける語数はせいぜい20語程度でしょう。

3. 相手のメールへの質問に答える。

準2級のサンプル問題ではメールの中に”Do you think that robot pets will improve in the future?”と質問が書いているため、この質問に答える文章が必要です。

語数は準2級では25~30語程度必要になっています。そのためYes/Noの回答の後に、その理由を1~2文で簡単に説明しなければならないでしょう。

さらには質問の前の文でAlexは「自分のロボットペットはバッテリーがすぐ切れてしまう」と述べているため、Yes/Noの理由の中に「バッテリーの問題」を含める必要があることがわかりります。

そのため「ロボットペットはもっと感情を表現できるようになる」「ロボットペットは見た目がもっと可愛くなる」などと書くと減点となる可能性があります。

つまり質問そのものだけではなく、その前の文章も確認しなければならないのです。

要約問題に向けた準備について

英検2級以上で出題される、長文を短い英文で要約する問題は日本の英語試験の中で非常に珍しく、大学入試においても、この方式を採用している大学はほぼありません(東京大学においても英文を日本語に要約する問題です。)。

そのため2024年1月現在、英文要約問題を掲載した対策本や問題集はほぼ発売されていない状況です。しかしながら全く対策を行うことが不可能ではないため、ここでその一部を紹介します。

準備① TEAPのライティング問題を練習する

英検の新しい要約問題に最も近い出題をしている試験TEAPです。TEAPとは上智大学と日本英語検定協会が共同開発した高校生向け英語試験です。つまり英検と同じ団体が開発に関わっているのです。

TEAPも4技能を測定できる試験であり、ライティングはTask AとTask Bの2題で構成されています。

そしてTEAPのライティング問題の一部(Task A)は英検準1級の英文要約問題と非常に似ており、内容としては280語程度の英語長文を65~75語に要約する問題となっています。

TEAPは英検と比較するとマイナーな試験ですが、参考書や問題集も発売されているので、要約問題にいち早く取り組みたい方は購入を検討してもよいかもしれません。

準備② ChatGPT(OpenAI)を利用した学習

英検1級を受験する方や新しい要約問題のためにわざわざTEAPの本を購入するのを躊躇している人は、VOA Learning EnglishとChatGPTを組み合わせた学習方法をおすすめします。

VOA Learning Englishは英語学習者向けにレベル別で無料のニュース記事を提供しています。一つのニュースは約300語で構成されていることが多く、英語要約の元になる長文にピッタリです。

そしてニュース記事はコピー&ペースト可能であるため、取り組んだニュース記事をChatGPTなどのOpenAIを用いて受験する級の指定の語数に要約してもらいましょう。

自分が要約した文書とChatGPTが要約した文書を比較することで、自分の要約が的外れではないか確認することができます。また自分の文書が正しくかけているか確認するためにChatGPTを使うことも有効です。

まとめ

英検1級から3級のライティング問題の勉強量が大幅に増える事実は、今後受験を予定する人にとって間違い無く大きな不安要素になることでしょう。

特に1級は元の文章の分量が多く内容も複雑なため試験時間がとてもシビアになることが予想されます。また準2級では限られた語数の中で複数のタスクや質問に答える必要があるため、生徒にとっては難しく感じる方も多いでしょう。

しかしこれは他の受験生もほとんど同じ状況にあると言えます。従来の様な対策本やテンプレートが用意されていない中で、受験生が今からできることは、語彙・文法の基礎固めや短い英作文の練習など基本に立ち返ることです。

当ブログでも新しい情報や対策本などが紹介された時には随時紹介しますのでこれからもよろしくお願いします。

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