SNSやオープンチャットなどにおいて英検1級や準1級に挑戦している人を観察している中で、不合格者に多く当てはまる特徴の一つとしてリスニングの点数が著しく低いことが挙げられます。
リーディングやライティングは合格点に届いているにも関わらず、リスニングは毎回正解率50%以下になっている受験者が意外と多いのです。中にはリスニングの素点が10点以下と合格圏内を大きく下回り悔し涙を流す方もおられます。
リスニングの点数が低くなりやすい一番の原因として過去問や公式問題集以外に普段からリスニングの練習をする機会がとても少ないことが挙げられます。またリスニングができない原因が自分の中で明らかになっていないこともあります。
これらの現象は、特に受験勉強の延長として英検に挑戦しようとしている人に多く見られます。これまでの学習習慣から、英会話やリスニング教材に触れる機会が他の人よりも少なくなりやすいのです。

単語学習とか英作文はかなり頑張ったけど、
リスニングは志望校で出題されないからなぁ…
ちなみに帰国子女や英会話学校に通う学生はリスニングは満点近く取れるものの、逆にリーディングで苦戦する人が多い様です。
今回はこれから英検を受ける方に向けて、英検のリスニングで点数が取れない原因および過去問や公式問題集以外のおすすめの教材を紹介します。
リスニングで点数が取れない原因と対策
英検のリスニングで点数が主な取れない原因として以下の3つが考えられます。
😢英検のリスニングが聞き取れない原因
- 基本的な英語の音が聞き取れない
- 英単語や知らない単語が多い
- 内容が難しくてついていけない
それぞれの原因についてもう少し深堀りしてみましょう。
原因① 基本的な英語の音が聞き取れない
英検に合格するために、ドラマや映画で登場するようなネイティブスピーカーの発言をすべて聞き取れるリスニング能力は必要ありません。
ここでいう「聞き取れない」とは音源に登場する単語や表現をすべて知っているにも関わらず、英検やTOEICで出題されるリスニングを聞き取ることが出来ないという意味です。
具体的に言えば、1級や準1級を受験する予定の方が、英検2級のリスニングで8割以上(またはTOEICのリスニングパートで7割以上)正解できていない状態です。
この状態にあてはまる方は、過去問や後で紹介する教材に取り組む前にリスニングアプリ「シャドテン」や”絶対「英語の耳」になる!リスニング50のルール”などの初中級者向けのリスニング教材で耳を慣らすことをおすすめします。
これらのリスニング教材には難しい単語や表現が含まれていないため、英語の音を聞き取るトレーニングに集中することができます。

原因② 英単語や知らない表現が多い
英検のリスニングでは、一つ下の級のリーディングパートに登場する英単語が登場する傾向にあります。英検1級であれば準1級の長文に登場する単語が出現するようなイメージです。
リスニングでは後から確認し直すことが出来ないため、すぐに意味を思い出すことが出来ない単語が登場してしまうと途端に理解度が下がってしまいます。
語彙力に不安を抱える人は、あえて一つ下の級の英単語を復習して、1秒以内にそれらの日本語訳を思い出せる状態を作ることを推奨します。
なお英検1級のPart1(会話の聞き取り)では時々慣用表現や口語表現も登場しますが、それらが正解の根拠になるケースはほぼありませんので、知らなかったとしても改めて暗記する必要はありません。
原因③ 内容が難しくてついていけない
英検のリスニングが難しく感じる一番の原因は内容が難しくてついていけないことではないでしょうか。
特に1級や準1級のPart2で登場する「講義や解説の聞き取り」は放送時間の長さと内容の難解さから多くの受験生が苦しめられています。

内容についていけない原因として、長い英文を聞き取る経験や時事問題や社会情勢に関する背景知識が不足していることが考えられます。
解決策として、英検の問題集をひたすら解くことも良いですが、日頃から英検以外の良質なリスニング教材にも取り組み、長い英語を聞き取る力や背景知識を身に着けることも重要です。
🎧リスニングで点数を取るための主な対策
- 易しい級や教材で基本的なリスニング力があるか確認(フォニックス・音の省略など)
- 受験する級のリスニングに登場する単語の知識に抜け漏れがないか確認
- 日頃から良質なリスニング教材に取り組む(過去問演習はもちろん重要!)
英検リスニング力強化に向けた教材の選び方
リスニングが聞き取れない原因とその対策が理解できたところで、リスニング力強化に必要な教材の選び方について解説します。
過去問や問題集を解くならAbceedがおすすめ
皆さんが思いつく英検のリスニングの対策としてまず第一に過去問演習が挙げられると思います。
そして過去問演習と言えば、旺文社の書籍を購入してから同社が提供するアプリである“英語の友”を用いる方法が最も有名です。
しかしながら一定期間集中してリスニング対策をしたい人であれば英語アプリ”Abceed”のProコース(有料)を使うことをおすすめします。
英語の友ではなくAbceedを使うメリットとして以下のような点が挙げられます。
✅Abceed(Proコース)で英検対策をするメリット
- 紙の書籍を購入する必要がない(パスワードなどが不要)
- 英語の友より少し古い過去問も公開されている
- 旺文社以外の英検対策教材(ジャパンタイムズ社など)も使い放題
- 各問題の大まかな正答率(Abceed利用者内)を確認できる
- TOEICや海外ドラマのリスニング音源も聞き放題

AbceedのProコースは本来「特急シリーズ」や「精選模試」などの読み放題が利用でき、TOEIC対策に強いコンテンツでした。
しかしながら近年では旺文社やジャパンタイムスの問題集などの英検に関する教材の取り扱いも充実しています。
加入する期間にもよりますが、毎月980円から3千円程度ですべての機能が使いたい放題になります。
Abceed Proに加入することで、ジャパンタイムスなど旺文社以外の教材も使い放題になる他、アプリ内におけるその問題の正解率を確認することもできます。
勉強するならYouTubeよりも雑誌や書籍がおすすめ!
リスニングの練習と言えばYouTubeでTedを見たりやNetflixなどで海外ドラマを見たりする方法があります。
一方で英語学習を真剣に取り組みたい時、特に英検対策においては雑誌や書籍を使うことをおすすめします。雑誌や書籍をおすすめしたい理由は以下の通りです。
- リスニングの原稿を簡単に確認できる
- 英単語やイディオムの一覧が付いている
- ディクテーションやクイズなどのコンテンツが含まれている
Youtubeでは聞き取れない箇所があっても豆粒のように小さい字幕を毎回確認しなくてはならず、自動字幕の場合は内容自体が不正確である場合もあります。また分からない単語や表現があっても辞書でいちいち調べなければなりません。
一方で雑誌や書籍では以下の画像のように必ずスクリプトと英単語の一覧が掲載されている上、学習者が取り組みやすい長さ(1つの記事で30秒~2分程度)に編集されています。


リスニングは伸びるまで一定期間トレーニングを続ける必要があるため、多少お金を掛けてでも学習に関わるストレスを極限まで減らすことが非常に重要です。
英検リスニング対策におすすめしたい教材(過去問・問題集以外)
ここでは過去問や対策問題集以外に、英検の出題形式に比較的近いと思われるリスニング教材を紹介します。普段の英検対策に加えて、これらの教材に日々取り組むことでリスニングの点数も安定しやすくなります。
①ニュースで学ぶ「現代英語」(NHKラジオ)⇒準1級受験者向け
ニュースで学ぶ「現代英語」はNHKで最近取り上げられたニュースをまとめて英語で放送するラジオ番組です。
時事問題も出題される英検のリスニングと相性がよい内容になっています。

音源こそ放送時間にラジオを聴かなければなりませんが、スクリプトや重要な英単語、英文の解説については公式サイトから一定期間無料で確認することが出来ます。
英文の解説で登場する英単語や表現は準1級レベルのものが多いため、語彙力強化にも最適です。
ラジオの音源を聞く時間がない人や面倒に感じる人は以下のブログ記事のようにスクリプトをコピーして読み上げソフトに読んでもらうのも良い方法です。
2024年度からはNHKゴガクのアプリでもスクリプトを確認することが出来ますので、スマホでも勉強がしやすくなっています。
教材の難易度としては後述するCNN English ExpressやVOAニュースフラッシュより易しめですので、これから準1級を受験したい方に特におすすめしたい教材です。
②CNN English Express(朝日出版社)⇒準1級・1級受験者向け
中上級以上の英語学習者にとってリスニング教材の総本山の一つになっている雑誌です。
CNNはアメリカ発の国際的なニュースサイトであり、Youtubeチャンネル内でも無数のニュースを聴くことは可能ですが、幅広いジャンルのニュースをナチュラルスピードで聞き取ることは容易なことではありません。
CNN English Expressでは学習者が取り組みやすいようにニュースや討論を3つのレベルに分けることによりニュース英語が初めての方から上級者の方まで様々なレベルに対応できるように工夫されています。
もちろんすべてのニュースや討論に英語のスクリプトや登場した単語一覧がついています。

また別冊付録でディクテーションの練習も出来ますので、まさにニュースを題材にしてリスニング力を伸ばしたい人にとって完璧な内容になっています。
英検1級や準1級は社会的な話題について取り扱われることが多く、CNN English Expressはまさに英検対策に最適な副教材です。
CNN English Expressでは時々以下のように日本で英語力を大きく伸ばした方の体験談やインタビューが掲載されていますので、モチベーションアップにも最適です。


③English Journalシリーズ (アルク)⇒1級受験者向け
CNN English Expressと並んでEnglish Journalシリーズもリスニング強化に適した教材です。
English Journal自体は2022年度末に休刊となってしまいましたが、後継としてEnglish Journal Bookが不定期刊として発売されています。

English Journalの特徴として、世界の著名人(研究者やIT企業の重役など)のインタビューの他、カジュアルな英会話に教授の講義などCNN English Expressよりも幅広いジャンルの音源を提供していることです。
英検では講義中心のPart2以外にも、英会話やReal-Life(読解付きのリスニング)の出題もあり、1級では2分間以上の長時間のインタビューの聞き取りが求められます。
English Journalは以下の画像のようにネイティブスピーカー同士の英会話を収録したコーナーもありますので、特に1級を受験する方で幅広い問題に対応できるようになりたい人にとっては最適な教材になるでしょう。


ただし英単語やディクテーションなど学習用教材としての充実度はニュースで学ぶ「現代英語」やCNN English Expressに劣ります。
また歌手や俳優(エド・シーランやレディー・ガガなど)へのインタビューなど英検との親和性が低いコンテンツも多いため、学習する記事の選び方に注意が必要です。
④VOAニュースフラッシュ(アルク)⇒1級受験者向け
VOAは”Voice of America”の略でCNN同様アメリカで放映されている主要ニュース局です。アルクではVOAのニュース音源をまとめた本を定期的に発売しており、リスニング教材として利用することができます。
タイトルコールが無いため繰り返し聞きやすい他、1分から2分と丁度良い長さにまとめられていますので、ある程度ニュース英語に慣れた人であれば学習しやすい教材となっています。

ただしVOAニュースフラッシュは2021年度版を最後に出版されていませんので、最新のニュースで練習したい人は前述のニュースで学ぶ「現代英語」やCNN English Expressを選んだ方がよいでしょう。
ちなみにVOA自体には、英語を母国語としない人に向けたサイトも用意されていますので、時間があれば合わせて利用しても良いでしょう。
まとめ
今回は英検準1級以上を受験する予定の方に向けて、リスニングで得点できない原因とその対策やおすすめの教材について紹介いたしました。
SNSや受験者のコミュニティにおいても、リーディングよりリスニングで大量失点している人が多い印象を受けます。リスニングは受験勉強の延長で出来る単語学習や英作文よりも勉強しにくいことが原因だと思います。
今回紹介したリスニングを強化できる教材を積極的に採用することで、リスニングで失点するリスクを減らすことが出来るはずです。
個人的な体験で申し訳ありませんが、私自身もCNN English ExpressやEnglish Journalを使ってリスニング練習を積むことで1級の試験本番で27点中23点を獲得することが出来ています。
また英検対策抜きにしても、「英語を話せる人」としてビジネスや国際交流の場に出るのであれば高度なリスニング力は必須となります。
英検リスニングで高得点が取れる学習法を知りたい方にとって、当ブログが参考になれば幸いです。