英検に向けて勉強するにあたり長年のテーマとして「独学で合格を目指せるかどうか」という話題があります。
特に1級合格を目指す場合、独学でトライしてみたが、途中で挫折した人も少なくありません。一方でSNSやブログで一発合格できたという喜びの声も多く聞くことがあります。一体その違いは何でしょうか?
今回は独学で英検合格を目指せる人と厳しい人の違いについて説明した後、独学で合格を目指すコツについて解説します。
独学できる人と厳しい人の違い
【前提条件】土台となる英語力+十分な学習時間
土台となる英語力とは?
独学で合格を目指すにあたり最も重要なことは土台となる英語力がありかつ十分な学習時間が確保できることです。
少し古いデータとなりますがTOEICと英検の級の相関関係を調査した結果によれば、英検1級合格者の45%以上が895点を獲得しているとしています。一方845点以下は10%程度しかいないことが伺えます。

※トイグルEnglish様「TOEICと英検比較まとめ!レベル別スコア換算表つき」より引用
このデータを見る限りTOEICL&R800前半を下回ると英検1級合格は厳しいことが予想できます。(稀に英作文などで高得点を取って合格している人もいます。)
逆に各種SNSやブログを見る限りTOEICL&Rで既に950点以上獲得している人もしくは英語圏の大学・大学院を卒業している人は、単語帳で語彙力を強化することであっさり合格している傾向にあります。
TOEICを受験したことがない人は、英検準1級において8割以上得点できることが一つの目安になると考えられます。
合格に必要な勉強時間
勉強時間については1日2~3時間は確保できることが望ましいです。合格体験記を見たところ土日祝など時間がある日は5時間以上勉強している人も珍しくありません。
大学受験ほどではありませんがかなりの時間を英検に費やす必要がありそうです。
▼勉強時間と学習内容の例
勉強時間 | 学習内容 | |
平日 | 1.5~2時間 | 通勤時間に英単語の暗記、Youtubeなどでリスニング |
休日 | 4~5時間 | 過去問や分野別問題集の演習、英作文の練習 |
💡独学できる人の特徴4つ
ここからが本題です。ある程度の基礎英語力を持つ人が独学した際に上手くいく人の特徴として以下の4つがあります。
独学で合格できる人の特徴
① 合格しやすい教材を選べる
② 単語や熟語を覚えることが得意
③ AIを有効活用できる
④ 社会的トピックにある程度関心がある
逆に合格が厳しい人はこれらの特徴の逆と言えるでしょう。
独学が厳しい人の特徴
① 時代遅れの教材や学習法にこだわる
② 単語や熟語の暗記がいつまでも中途半端
③ 英作文を書きっぱなしにして終わり
④ 社会的トピックに関心がない
独学で合格できる人の特徴について以下の通り詳しく説明します。
ポイント① 合格しやすい教材を選べる
英検で重要なポイントの一つとして合格できる教材選びがあります。例えば英単語帳であればジャパンタイムズ社の「英熟語EX」やアプリの「でた単」が主要な教材になっています。

一方で旺文社の「でる単」は5訂版は、以前と比較して掲載語彙の難易度が大きく下がったため、これ一冊では合格が厳しい単語帳になってしまいました。
ちなみに長文問題集やリスニング問題は旺文社の教材も有効です。
このように出題内容ごとに合格実績の教材を正しく選ぶことが重要になっています。
※過去問題集の選び方については以下の記事をご覧ください。
ポイント② 単語や熟語を覚えることが得意
社会人かつ独学している人が一番得点しやすい分野は、リーディング大問1の語彙問題です。
語彙問題は空欄の語彙以外の英文はそこまで難しい内容ではないため、選択肢の単語や句動詞の意味を知っていればほぼ確実に得点することができます。
そのため単語や句動詞を覚えることが得意な人はその時点で大きなアドバンテージがあると言えます。
ポイント③ AIを有効活用できる
独学の最大の弱点は「先生や指導者からフィードバックが得られない」ことです。そこで重要になるテクニックがAIを有効活用することです。
英作文や2次試験のスピーチの原稿の添削にAIを活用するだけでも合格する確率が上昇することは間違いないでしょう。もちろん英作文については過去問の模範解答を念頭に置く必要はあります。

ポイント④ 社会的なトピックにある程度興味関心がある
英検1級はある程度専門的な話題について話の展開を理解し、自分の意見を述べることが求められています。専門的と言ってもプロしか分からない内容ではなく、中学や高校の理科・社会科の教科書や一般的な時事ニュースを読んでおおむね理解できるレベルです。
もし以下の用語について内容を説明できないまたは自分の意見が全くないという状態であれば英検1級に必要な社会的トピックへの理解が薄いかもしれません。
💡英検1級でよく取り扱われる話題の例
- 持続可能性
- デジタル格差
- 人工知能
- 発展途上国への支援
- 雇用制度
独学で合格を目指すコツ
ここからは独学で英検1級を目指す人ができる限り楽に目標達成を目指すコツを紹介します。
方法① まず先に単語帳を1冊終わらせる
合格を目指すにあたりその級に必要な単語が頭に入っていることは大前提になります。
近年英検1級の大問1の難易度は安定傾向にあるため、できれば毎回8割(22問中18問)以上正解することを目指していきましょう。
現状では英熟語EXの出現語彙を一通り暗記するもしくはでた単をStage2まで完了させることが一番の近道になっています。
どちらも約3000語句ほど暗記する必要があるため英検1級を受験する予定があるのであれば、いち早く始めることをおすすめします。
方法② 長時間英語を聞く体力をつける
英検に合格できない人の特徴としてリスニングで大きく失点してしまうことがあります。
試験全体としては30分以上の放送時間がある上、Part2の講義では1問1分30秒程度の英文を聞く必要があります。
英検の過去問に取り組むのは当然のこと、Youtubeなどで10分以上連続してTed Talksなどの動画を視聴するトレーニングを行うことで英語を聞く体力を身に着けることができます。

方法③ 英語漬けやChatGPTなどのAIを活用する
独学では定期的にライティングの英作文の添削や面接の指導を受けることは困難です。
そこで代わりに英語漬けやChatGPTなどのAIに先生になってもらうことをおすすめします。人間に聞くよりも多少工夫が必要ですが、質問の仕方によっては通常の添削や指導を超える効果を得ることができます。
ただ単に「○○の英文を添削してください」と書いてもいいですが、プロンプト(指示書)にリーディングの採点項目を書いたり問題の内容や模範解答を書いたりすることで添削の精度は大きく向上します。
英作文におけるプロンプト例
あなたは英検1級の英作文試験の採点官です。以下の英作文をCEFR C1レベル以上の観点で評価し、次の4点に分けて詳しくフィードバックをください:
- 論理構成(introduction, body, conclusionの明確さ)
- 語彙と表現の正確さ・多様性
- 文法と構文の正確さ
- 説得力と一貫性
最後にスコアの目安(32点中何点相当か)と改善案も書いてください。
【トピック】
Do the benefits of technological advancement outweigh the drawbacks?
【英作文】
(ここに自分の英作文を貼り付け)
面接練習におけるプロンプト例
あなたは英検1級の二次試験官です。模擬面接をしてください。以下の形式で進行してください:
- 初めに自己紹介を求める。
- カードに基づいたスピーチのトピックを1つ出す(例:”Should space exploration be continued?”など)
- スピーチ後、4つのfollow-up questionsを順に出す(深掘りや意見の理由を問うもの)
- 各回答に対し、発音・語彙・論理展開・自然さの観点で評価と改善案を出す。
私の役は受験者です。準備ができたら、最初の質問からお願いします。
番外編 Xやオープンチャットで仲間を作る
一人で英検に向けた学習をすることが辛く感じる場合にはXやLINEのオープンチャットで学習仲間を作ってもいいかもしれません。アカウントによっては面接の練習会を開催したり合格者がアドバイスを発信している場合もあります。
ただし周りの発言に振り回されやすい性格の人はSNSはやめて本やAIに向かって黙々と勉強した方がいい場合もあります。私自身もどちらかと言えばこちらのタイプです。
工夫次第では独学でも合格は可能
SNSなどで華麗に合格する人を見ると、自分には彼らみたいなマネはできないと感じる方もおられるでしょう。
結論を言えば英検1級は独学でも十分合格を目指せる可能性がある資格だと思います。
もちろん求められる英語力は高いですが、扱われるトピック自体は医師や公認会計士試験のような高度な内容ではなく、一般的な社会人であれば十分理解できるレベルです。
合格しやすい教材を購入して、AIによるフィードバックを上手に受けることで確実に合格に近づくことができるでしょう。
もしも何度も受験したにも関わらず、中々合格点に達しない場合は、ピンポイントで英作文添削サービスを利用したり、オンライン家庭教師を採用してもよいと思います。
当ブログでは英検合格を目指すすべての方を応援します。