近年英検は学生を中心に人気が高まっています。特に大学受験を控えた高校生は英検を取得することで、特定の受験形式に出願できたり、一般入試で加点をもらえたりできます。また小学生や社会人の一部でも英語力を確かめる身近な目標として活用されています。
しかしながら英検を受験するにあたり、受験料に加え、教材や塾への通学費用を含めると、合格までに必要な費用は決して安くありません。
当記事では英検をこれから受験する皆様のために、英検受験に必要な費用の内訳および費用を抑えるための方法をまとめましたので、お金の面で不安がある方なら誰でもは一読の価値があります。
英検の取得には想像以上にお金が掛かる!
英検を取得するためには想像以上に費用が掛かる場合があります。その理由は以下の通りです。
- 目標の級を取得するためには長期間を要する場合が多い。
- 上位級は複数回受験する人が多い。
目標の級を取得するためには長期間が必要
小学生の時から英検を受験する場合は5級や4級から受験する方が多いと思います。しかしながら最終目標が5級や4級である人はほとんどいないはずです。
実際には自分もしくはお子さんが本当に目標とする級はもっと高い所にあるので、その地点に到達するためには英検を繰り返し受験する必要が出てくるのです。
4級合格おめでとう!次は3級合格を目指しましょう。
つまり英検は習い事のスイミングや空手の級のように繰り返し受験することを前提にした試験であるため、必要となるトータルの費用は他の試験より高額になることが予想されるのです。
上位級は複数回受験する人が多い
先ほどの話を読んだ人の中には、最初から上位級を受験して合格すれば費用が掛からないのではないかと考えられますが、ほとんどの人にとっては現実的な方法ではありません。
英検の中でも上位級とされる1級や準1級は合格率が低いと言われています。現在英検では合格率は非公開ですが、公表時点の合格率は1級は10~12%、準1級は15%程度でした。
また目指せヘキサリンガル!様のアンケート調査によれば1級の合格者の合格までの受験回数の平均は2.5回、準1級では1.5回となっており、合格者であっても何回も受験している人の方が多いと予想されます。
何回も受験することになれば、検定料も対策に必要な費用も高くなることは想像に難くありません。
いつになったら合格できるんだ?検定料だけでもう10万円は払っているぞ…
費用面だけで言えば、教材もあまり買わず塾にも一切行かずいきなり1級を受験して一発合格できれば最もコスパは良いかもしれませんが、帰国子女や一部の天才を除き実現はほぼ不可能でしょう。
英検合格に向けて必要となる費用とは?
英検合格に必要な費用には、以下の図の通り検定料や参考書の購入費の他、英検対策用の塾の費用が必要になる場合もあります。
次にそれぞれの項目で具体的にいくら必要になるか詳しく解説します。
検定料
英検には数検のような科目合格による減免制度が無いため、1次試験免除を行っても検定料が割引されることはありません。特に1級において1次試験免除を行っても、約10分の面接で1万円以上かかるのは中々辛いものです。
英検の検定料は以下の通りです。(2024年度現在 ※年度ごとに変更になる可能性があります。)
会場/級 | 1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | 3級 | 4級 | 5級 |
準会場 | – | – | 6,900円 | 6,100円 | 5,000円 | 2,900円 | 2,400円 |
本会場 | 12,500円 | 10,500円 | 9,100円 | 8,500円 | 6,900円 | 4,700円 | 4,100円 |
参考書・アプリの購入費
過去問…2,000~3,000円 ※1級の場合は複数冊買う場合もある
過去問題集の中で一番有名な旺文社の「英検 過去問題集6回分」などを購入することが多いです。英検公式サイトに公開されている過去3回分の過去問だけ解くのであれば費用は掛かりません。
1級を受験する場合はさらに古い年度の過去問題集を購入することもあるため、過去問を集めるだけでも意外とお金が掛かります。
英単語帳…1,500~3,000円
2級までであればDUOやシスタンなどの大学受験用単語帳や学校から配布される英単語帳で十分合格することが可能です。準1級以上では「英熟語EX」または「でた単シリーズ」のどちらかを購入することが一般的です。
英作文対策…2,000~3,000円
ジャパンタイムスの「英作文完全制覇」シリーズなどがおすすめです。2024年度第1回より「英文要約」問題が追加されたため、英文要約用の問題集も別途購入するとさらに費用が掛かります。
分野別問題集…2,000~10,000円
旺文社の「リスニング問題集」などの購入がおすすめです。上位級ではCNN English Expressやラジオ英会話の定期購読も必要になるかもしれません。
大学受験ではリスニングを行わない学校も多いため、対策が疎かになっている受験生も多いと思います。実際に準1級において受験生の得点表を見るとリスニングがボロボロであるケースが多いです。
長文問題集や語彙問題集は準1級以上の受験で必要に応じて購入しても良いかもしれません。
面接対策対策本…2,000~3,000円
英語塾になどに通っている場合は、塾の先生が面接練習をしてくれますが、独学の場合にはココナラやネイティブキャンプで面接の指導を行ってくれる先生を探すことをおすすめします。
その他(塾の費用など)
英検対策用の塾に通う場合
授業料…月額15,000~40,000円+入会金・教材費など
ピンポイントでの対策を行う場合
英作文対策(IDIY)…5,000~20,000円
面接対策(ココナラ)…1回あたり2,500~5,000円(30分~1時間)
面接対策(Native Camp)…月額7,480円+1回あたり800円(日本人講師指名)
英検に向けて必要な費用をシミュレーション
ここからは先に説明した各項目の費用に基づいて、英検合格に必要な費用について考えてみましょう。
事例① 小学生から英検を受験する場合(最終目標:2級)
英語を初めて勉強する小中学生が高校在学中に英検2級合格を目指すケースについて考えてみましょう。
4級まで
4級までは検定料が比較的安く、また英検に特化した対策も必要ないため、費用はそれほど掛かりません。ただし英語を含めた勉強のために塾に通わせる場合は費用が一気に掛かることになります。
項目 | 5級 | 4級 | 備考 |
検定料(準会場) | 2,400円 | 2,900円 | |
総合対策本 | 1,100円 | 1,320円 | ひとつひとつ分かりやすくシリーズを使用 |
英単語帳 | 1,210円 | – | 高校受験ターゲットを利用する |
その他 | 2,000円 | 3,000円 | アプリや追加の参考書など |
3級~2級まで
3級からは英作文と面接が加わるため、英検対策の重要性が一気に高まります。高校入試や学校の定期テストとは出題形式が異なるため注意が必要です。
英作文では点数を得られる書き方をテンプレートとして覚えることが重要です。面接ではクエスチョンへの答え方にコツがあります。このような対策は塾に行くことで教えてもらえることも多いです。
項目 | 3級 | 準2級 | 2級 | 備考 |
検定料(準会場) | 5,000円 | 6,100円 | 6,900円 | |
総合対策本 | 1,430円 | 1,540円 | 1,595円 | ひとつひとつ分かりやすく |
英単語帳 | 1,265円 | 1,375円 | 1,485円 | パス単使用※大学入試用も可 |
英作文対策 | 1,320円 | 1,430円 | 1,760円 | 面接対策コーナー付 |
リスニング対策 | – | – | 1,760円 | リーディング問題付 |
長文対策 | 2,000円 | 3,000円 | 3,000円 | 高校・大学入試用を活用 |
面接対策 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 | ココナラ利用(各級2回ずつ) |
上の二つの表に基づいて、5級~2級の合格に必要な費用を求めると、合計で69,890円となります(※すべての級で初受験で合格した場合)。ここに塾などの費用は含んでいないため、実際のところは数十万円以上を支払っている家庭も少なくありません。
高校在学中に準1級合格を目指す場合は以下の社会人向けのシミュレーションも確認してみましょう。高校生の時に準1級に合格できればMARCHをはじめとする難関私大への受験が有利になります。
事例② 社会人が独学で英検を受験する場合(最終目標:1級)
大学受験(一般入試)を経験した社会人(学習開始時に英検2級上位レベル)が最終的に英検1級を受験するケースについて考えてみましょう。英検1級に合格することで、英語学習に一旦区切りをつけることができます。
準1級を受験する時
項目 | 費用(税込) | 詳細 |
検定料 | 10,500円 | 2024年度現在 |
過去問題集 | 2,420円 | 旺文社 準1級過去問題集6回分 |
英単語帳 | 1,980円 | ジャパンタイムス 英熟語EX ※でた単準1級でも可 |
英作文対策 | 2,090円 | ジャパンタイムス 英作文対策完全制覇 |
英作文添削 | 13,530円 | IDIYライトコース 1か月利用※生成AIなどで代替可 |
リスニング対策 | 2,310円 | 旺文社 英検準1級 リスニング問題 |
長文対策 | 1,980円 | 旺文社 英検準1級 リーディング問題 |
面接対策 | 7,500円 | ココナラのサービス利用(3回分) |
上の教材をすべて利用した上で、準1級に2回目の受験で合格した場合に必要な費用は、合計で31,810円となります。これはあくまでも教材や添削など最低限の費用をまとめたものなので、英語塾に通っている場合は授業料なども追加で掛かります。
1級を受験する時
項目 | 費用(税込) | 詳細 |
検定料 | 12,500円 | 2024年度現在 |
過去問題集 | 3,080円 | 旺文社 1級過去問題集6回分 |
英単語帳 | 2,090円 | ジャパンタイムス 英熟語EX ※でた単1級でも可 |
語彙問題集 | 2,090円 | ジャパンタイムス 英検1級語彙問題完全制覇 |
英作文対策 | 2,420円 | ジャパンタイムス 英作文対策完全制覇 |
英作文添削 | 16,476円 | IDIYスタンダードコース 1か月利用※生成AIなど代替可 |
リスニング対策 | 2,640円 | 旺文社 英検1級 リスニング問題 |
長文対策 | 2,420円 | 旺文社 英検1級 長文問題 |
面接対策 | 12,500円 | ココナラのサービス利用(5回分) |
上の教材を利用した上で、1級に3回目の受験で合格した場合に必要な費用は、合計で81,216円となります。合格までに長期間要したり、面接対策などを何回も依頼した場合には独学でも10万円以上必要なケースも決して珍しくありません。
どうすれば英検に掛かる費用を軽減できるのか?
英検受験には意外とお金が掛かることが分かったと思いますが、どうにかして費用を削減する方法はないのでしょうか?
そこで次に英検を受験するための費用を軽減する方法について紹介します。出来るだけ費用を抑えて英検の合格を果たすために一番大切なことは自分の実力(強みや弱点)をしっかりと把握して、苦手な分野をピンポイントに対策することです。
またアプリや生成AIなどの最新のテクノロジーを有効活用することや学校の教師など身近な指導者に頼ることも重要になってきます。
詳しい方法については以下の通りです。
方法① まずは自分の正確な実力を把握する
英検を受験する前に自分の正確な実力(合格の可能性)を把握することが必要です。過去問を解いて4割以下の得点率である場合は一つ下の級を受験することも検討した方が良いでしょう。
ごく稀に、準1級を受験したことが無いにも関わらず、1級を何回も受験して不合格になっている方もおられますが、費用や学習効率の面でいれば非常にもったいないことです。
過去問を解いて5~6割以上正解できれば受験を申し込んでも問題ないでしょう。
方法② アプリや生成AIを有効活用する
英検の中で最も独学を行いにくい分野としてライティングやスピーキングがありますが、近年では復習がしやすいアプリやChatGPTを利用した英作文のトレーニングが利用できます。
また英語漬け.comにおいてもAIを用いた英作文の添削サービスを展開しています。(添削を行うには広告視聴またはサイト内の英語学習で獲得できるコインが必要です。)
ChatGPTの英語学習への活用法については以下の記事もご覧ください。
方法③ ココナラなど単発のサービスを活用する
通常の英語塾は定期的に月謝が掛かってしまいますが、英作文や2次試験など部分的に対策をしたい場合にはIDIYなどの英作文添削サービスやココナラでの個別指導など単発のサービスを利用することをおすすめします。
指導一回あたりの費用は高くても数千円であるため、トータルのコストで考えれば英語塾に通うより間違いなく割安です。
方法④ 学校の英語教師に頼る(学生向け)
学生で塾を利用することが難しい場合は自分の学校の英語教師に頼ることをおすすめします。世間では英語教師の英語力不足が批判されているものの、近年では教育実習の参加条件に英検準1級を課している場合が多いため、若い教師であれば英検対策にもある程度知識があると思われます。
塾などの有料サービスを利用する前にまずは学校の先生に英検対策について質問してみることもアリかもしれません。
方法⑤ 準会場の一般受験者受け入れ会場を探す(学生向け)
英検の検定料は本会場よりも準会場(塾などで開設)の方が割安になっています。準会場は塾や団体で応募して開設される会場であるため、その塾や団体に所属していない方の受験は受け付けていないことが多いですが、一部の塾や団体では一般受験者を受け入れています。
受け入れを公表している塾や団体は英検の公式サイトで都道府県別に探すことが出来ます。
方法⑥ 市町村の助成制度を活用する(学生向け)
一部の市町村では、学生向けに英検の受験費用を助成する自治体があります。受験級にもよりますが、おおむね検定料の1/2または全額負担してくれる場合が多いようです。
補助の内容は以下の表の様に自治体によって大きな違いがあります。社会人にもぜひ補助をしてほしいところですが、残念ながら利用できない自治体が多いようです。
英検の検定料を助成する自治体の例
自治体名 | 対象者 | 制度の内容 |
栃木県下野市 | 市内の小中学生/3級以上 | 検定料の1/2を補助(年1回) |
鳥取県大山町 | 小学生以上の市民(社会人OK) | 10,000円を上限に補助(年1回) |
千葉県四街道市 | 市内の中学3年生 | 全額補助(年1回) |
茨城県筑西市 | 市内に通学や居住する中学生 | 検定料の1/2を補助(回数制限なし) |
まとめ
今回の記事を読むことで、塾などに通わない場合でも英検の対策には一般的に数万円~数十万円の費用が掛かることが分かりました。
一方で各種制度をうまく使ったり、闇雲に塾などに頼ることを控えたりすることで費用を削減することが可能です。
社会人向けの英検対策については以下の記事で詳しく解説おりますので、時間がある方は合わせてご覧ください。