海外ドラマで英語を勉強しようと思ったものの、セリフが速すぎて聞き取れない。
英語字幕を出しても、知らない表現ばかりで追いつけない。
気づけば内容を楽しむだけになり、「英語学習」としては続かなかった。
このような経験がある人は少なくないのではないでしょうか。
海外ドラマが挫折しやすい理由
英会話の練習の王道の一つ「海外ドラマ」―
海外ドラマを繰り返し見たり、セリフを口ずさむことで英会話が上達した人は数多くいます。
例えば海外ドラマに登場するセリフを覚えることで、日本の教科書では習わないがネイティブスピーカーは使う表現を覚えることができます。
また英検やTOEICなどと比較して容赦のない速さの英語を聞き取る練習は、リスニング力強化にも役に立ちます。
ただしそのトレーニングのハードさ故に挫折者が多いのも事実です。
海外ドラマで挫折する理由
- 教材でないため話す速度が早すぎる
- スラングや皮肉、文化的な前提知識が分からない
- 映像でなんとなく理解できた気になる
つまり海外ドラマは、英会話学習に役立つ一方で、上級者以外には負荷が高すぎる場合があります。

そこでおすすめしたいのが、英語の児童書を使った学習です。
ここでいう児童書とは、幼児向けの絵本だけではなく、小学生〜中学生くらいの読者を想定した英語の読み物を指します。
児童書は海外ドラマほど音声の負荷が高くありませんが、日常会話で使われる表現や、友人・家族とのやり取り、学校生活での会話が多く含まれています。
いわば、海外ドラマに挑戦する前の「会話表現の土台作り」に向いている教材だと言えます。
レベルアップに役立つ3つの理由
児童書が海外ドラマに負けないほど、英会話力アップに役に立つのは、以下のような理由があります。
理由① イディオムを自然に学ぶことができる
英会話でネックになる要因の一つとしてイディオム(慣用表現)があるのではないでしょうか?
児童書は日常会話で使いやすいイディオムや慣用表現の宝庫です。
とある帰国子女の方に、「どうしてイディオムをそこまで知っているのか」と聞いたところ、学校などで大量の本(児童書)を読まされたからだと答えていました。
もちろん、イディオムだけを単語帳のように暗記する方法もあります。
しかし実際の会話では、「その表現がどのような場面で使われるのか」「どのくらいカジュアルなのか」「誰に対して使えるのか」まで分かっていないと、なかなか自然には使えません。
児童書であれば、登場人物同士の会話の中でイディオムが出てくるため、表現の意味だけでなく、使われる場面も一緒に覚えることができます。
例えば、友達を励ます場面、親に怒られる場面、学校でトラブルが起きる場面など、日常に近い文脈の中で表現を学べる点が大きなメリットです。
とある児童書の中で”keep somebody on their toes“(気を抜かせないようにする)という表現が登場しました。
まさに保護者が子どもたちに注意している場面で使われていたため、上の表現の意味をすんなりと理解できました。

理由② 日常会話を目で追うことができる
海外ドラマと児童書の最も大きな違いは日常会話を文字で直接確認しやすい点です。
海外ドラマも字幕を英語字幕に切り替えることで、セリフを確認することはできますが、あとで復習することはなかなか面倒くさい作業です。
また人によっては分からない表現や聞き取れない部分をスルーしてしまうこともあるでしょう。
その点、児童書であれば分からない表現に出会ったときに、その場で立ち止まることができます。
前後の文を読み返したり、辞書で調べたり、気に入った表現に線を引いたりすることも簡単です。
特に英会話では、「音として聞き取れない」の前に、そもそも「表現として知らない」という問題がよくあります。
文字で読んだことのない表現を、いきなり海外ドラマの速いセリフの中で聞き取るのはかなり難しいです。
まず児童書で会話表現を目で確認しておくことで、あとからリスニングで出会ったときに「あ、この表現は知っている」と気づきやすくなります。
気になる表現を見つけたら鉛筆で囲ってメモしましょう。

理由③ 量を積み重ねることができる
児童書は大人向けの小説を読むよりインプット量を増やすことが容易です。
児童書は家庭や学校、スポーツクラブなど身近な場所が舞台になることが多いため、背景知識などを必要以上に求められません。
また、文章そのものも大人向けの文学作品や専門的なノンフィクションと比べると読みやすく、1冊を読み切るハードルが低いです。
英語学習では、難しい教材を少しだけ読むよりも、自分に合ったレベルの英文をたくさん読む方が効果を実感しやすい場合があります。
特に英会話を伸ばしたい場合、「難解な単語を覚えること」よりも、「よく使われる基本表現に何度も触れること」が重要です。
児童書は同じような日常表現が何度も出てくるため、自然と英語の語順や会話のリズムに慣れることができます。
海外ドラマで一話見るだけでも疲れてしまう人でも、児童書であれば1日10ページ、15ページと少しずつ進めることができます。
この「続けやすさ」こそ、児童書を英会話学習に使う大きなメリットです。
児童書は一つのチャプターが数ページと短いものも多いです。

児童書を使う注意点
一方で英会話学習に児童書を使うにあたり注意点もあります。
それは児童書の選び方です。
日本で有名な英語の児童書と言えば、Harry PotterシリーズやHolesなどが挙げられます。
これらの本は名作ですが、英会話のレベルアップには最適とは言えません。
なぜならば場面設定が日常生活とは少し離れているからです。
英会話に不向きな理由
Harry Potter
- 魔法やファンタジー要素が多い
- 日常会話にそのまま使う機会が少ない語彙が多い
Holes
- 舞台設定や雰囲気がやや特殊(砂漠の収容所)
- 英会話で使える口語表現や熟語が少ない
もちろん、これらの作品を読むこと自体は非常に良い英語学習になります。
ただし「英会話で使いやすい表現を増やしたい」という目的であれば、家庭、学校、友人関係、日常のトラブルなどを扱った作品を選ぶ方が効果的です。
また、最初から難しすぎる本を選ばないことも重要です。
知らない単語が多すぎる本を読むと、内容を楽しむ前に辞書を引く作業で疲れてしまいます。
目安としては、1ページに分からない単語が多すぎず、辞書を引かなくても大まかな内容が追える本を選ぶとよいでしょう。
基礎力がないと児童書も厳しい
児童書は、海外ドラマの視聴よりは負荷が少ないですが、それでも最低限高校卒業レベルの英語力が必要です。
具体的に言えば英検2級~準1級、TOEICL&R 600点レベルの英語力は欲しいところです。
もし基本的な文法や単語に不安がある場合は、やり直し英語を通して基本的な英語力を身に着けることをオススメします。
オススメ作品を紹介!
ここでは比較的読みやすく、日常会話で使う表現を学びやすい児童書を3冊紹介します。
共通点としては家庭や学校での生活やそこで起こる出来事を中心に扱っていることです。

オススメ本① Wonder
Wonder は、初めて学校に通うことになった少年 Auggie と、彼を取り巻く家族や友人たちを描いた作品です。
学校生活、友人関係、家族との会話が多く、英会話で使いやすい自然な表現に触れやすい一冊です。
複数の登場人物の視点から物語が進むため、同じ出来事に対する感じ方の違いも学べます。
オススメ本② The Pants Project
The Pants Project は、学校の制服ルールに疑問を持つ主人公 Liv の物語です。
学校生活や友人関係、家族との会話が中心なので、日常会話で使いやすい表現を拾いやすい作品です。
特に、自分の気持ちを説明したり、納得できないことに対して意見を伝えたりする英語に触れられる点が魅力です。
オススメ本③ Soar
Soar は、野球をテーマにした児童書ですが、単なるスポーツ小説ではありません。
学校生活、親子関係、地域の人との交流が描かれており、誰かを励ます表現や、チームの中で意見を伝える表現に触れやすい作品です。
スポーツや部活動に近い場面の英語を学びたい人に向いています。
まとめ
海外ドラマは英会話学習に非常に役立つ教材ですが、すべての人にとって最初から使いやすい教材とは限りません。
スピードが速い、表現が難しい、復習しにくい、分からない部分を流してしまいやすいなど、挫折しやすい要素も多くあります。
その点、児童書は日常会話で使われる表現を文字で確認しながら、無理なく大量にインプットできる教材です。
特に、イディオムや口語表現を自然な文脈で学びたい人、海外ドラマの英語が速すぎてついていけない人、英会話で使える表現を増やしたい人にはおすすめできます。
児童書を読むことは、海外ドラマから逃げることではありません。
むしろ、海外ドラマをより楽しみ、より深く理解するための準備段階だと考えるとよいでしょう。
まずは自分のレベルに合った1冊を選び、分からない表現を少しずつ拾いながら読んでみてください。
その積み重ねが、英会話で使える表現の引き出しを確実に増やしてくれるはずです。


