ChatGPTをはじめとする生成AIは普段の疑問の解決から業務効率化まで非常に万能なツールであることはご存じだと思います。
それは”英語学習”においても同様です。もしかするとChatGPTをすでに「翻訳」や「英文添削」に使っている人も多いかもしれませんが、英語学習のために使うのであれば、これだけでは非常にもったいないと断言できます。

ChatGPTに英文の添削を頼んだことはあるけど、
英語学習にもっと役に立つ使い方はないのかな?
実はChatGPTを十分に使いこなすことで、自分のレベルに合った英語の問題を出題してくれる他、オリジナルの例文付きの単語帳を作成することもできるのです。

まさしく無料でネイティブスピーカーの先生があなた専用の家庭教師になってくれる夢のような体験が実現するのです。
当記事ではChatGPTを使って英語学習を効率よく進めていく方法について具体例(プロンプトの書き方)と回答例を合わせて解説していきます。またChatGPTを使う上での注意点も説明します。
英語学習においてChatGPTを使うメリットとは?
ChatGPTの具体例な活用法について説明する前に、英語学習においてChatGPTを使うメリットについて簡単に説明します。ChatGPTのメリットを学ぶことで、より効果的にツールを使いこなすことができるでしょう。
👍ChatGPTの主なメリット
- 非常に高い英作文の能力⇒数秒で英検1級合格レベルの作文が完成
- 従来では検索しくにい情報の入手(ニッチな情報や海外文献など)
- 無料で英会話の相手をしてくれる
メリット① 英文を作成する能力が非常に高い
ChatGPTは英語をベースとした大規模言語モデルであるため、言語に関する処理能力(英作文など)は人間の比ではありません。
特に論理的な文章の作成は非常に得意であり、英検1級で出題される自由英作文であってもわずか数秒で違和感のない英文を作成することが可能です。
またネイティブスピーカーが使うようなおしゃれな表現を使って作文をしてくれるため、日本人にとっては新しい表現を学ぶこともできます。
メリット② ネットで検索しにくい情報も入手できる
ChatGPTではGoogleなどのネット検索では入手しにくい情報も手に入れることもできます。
例えば日本ではマイナーな洋書のあらすじや英文の読みやすさを教えてくれる他、ブログやウェブメディアなどのWebサイトの分析も行うことができます。※一部機能には有料版GPT-4oが必要です。
またおすすめの参考書や洋書など一度に複数の情報を提案してくれるため、ネット検索より得られる情報量が多い傾向にあります。

メリット③ 英語講師がいなくても疑似的に英会話ができる
ChatGPTにあらかじめ役割や場面について指示をすることで英会話のロールプレイングを行うことができます。たとえばレストランのウェイターやクレームを言う顧客などを演じてもらうことが可能です。
(プロンプト例)
あなたはとあるイタリアンレストランで働くウェイターです。私は妻とディナーであなたのイタリアンレストランに訪問しています。私の英語での問いかけの後に続いて回答を入力してください。
英会話における基本的なChatGPTの使い方についてはDMM英会話のブログ記事にも詳しく掲載されていますので合わせてご覧ください。
ただし純粋にスピーキング能力を高めたい場合にはChatGPTよりも生成AIを利用した英会話アプリ(Speakなど)を利用することをおすすめします。ChatGPTだけでは相手の発言に素早く対応する力を身に着けることは困難です。
ChatGPTのさらなる活用法について
ChatGPTを英語学習で利用する場合は英作文や英会話の練習相手として使うことが多いと説明しましたが、ここでは英作文や英会話に加えて、ChatGPTをさらに使いこなすための活用法について説明します。
具体的な活用法として以下のような方法が挙げられます。
翻訳・英作文・英会話以外のChatGPT活用法の例
- 英文記事の解説
- 単語帳の作成
- 英語の問題作成
- 学習参考書や洋書の紹介

活用法① 英文記事の解説
ChatGPTでは海外のニュースサイトの記事について解説をしてもらうことが可能です。例えば下のプロンプトを使うことで、記事に登場する難しい単語・記事の要約・記事のレベルなどを知ることが出来ます。
(プロンプト例)
以下の#英文記事について以下の#内容について教えてください。
#内容
・記事の概要について日本語で300文字以内で説明してください。
・記事の中で難しいと思われる英単語や慣用表現を10個以上抜き出して右隣に日本語訳を追加してください。
・日本人の英語学習者にとってこの記事を読むことはどの程度難しいか教えてください。
#英文記事
{英文記事をペーストする}

活用法② 単語帳の作成
中々自分が覚えられない単語や教材に登場した単語などをまとめてオリジナルの英単語帳を作成することができます。例えば下のプロンプトを使うこと例文付きの英単語帳を表形式で作成することができます。
(プロンプト例)
「以下のすべての単語に関する情報を整理してください。テーブル形式で表示してください。単語: [単語を入力してください]
チェック:[ここにはなにも入力しないでください]
品詞: [単語の品詞を入力してください]
アクセント記号: [単語のアクセント記号を入力してください]
日本語訳: [単語の日本語訳を入力してください]
例文: [1つの例文とその日本語訳を以下の形式で入力してください: 例文1 (日本語訳1)] 単語については、以下を使用してください ○○○○ ※○○に単語を入力してください」
備考欄:[ここにはなにも入力しないでください] https://note.com/aoimochi/n/n807964bcd7a6 のプロンプト例を一部改変
作成した英単語帳の表については一度エクセルにペーストして体裁などを整えてから、NotionやEvernoteのようなメモ帳アプリに張り付けることで、いつでもスマホで見れるオリジナル単語帳が完成します。
詳しい方法についてはN様のブログ記事でも紹介しておりますので、参考にしてください。
活用法③ 英語の問題作成
ChatGPTを使うことで、自分の英語力を確かめるための英語のテスト問題を作成することも可能です。
事例① 単語リストから4択問題を作成する
自分が持っている単語リスト(エクセルなど)をChatGPTに張り付けて4択問題を作成することができます。これにより自分が復習したい英単語についてテスト形式で振り返ることが可能です。
もちろんChatGPTにオリジナルの問題を考えてもらうこともできます。(例:英語上級者向けの英単語の意味を別の英文で解答する4択問題を10問作成してください。)
(プロンプト例)
以下の#単語リストに掲載されている英単語に関して理解度を問う問題を作成してください。ただし以下の#条件を守ってください。
#問題の条件
・英単語を見て正しい日本語訳を答えさせる問題にしてください。
・4択問題にしてください。
・問題数は10問にしてください。
・選択肢の記号はランダムに設定してください。
・問題の解答の根拠は#単語リストの様々な場所から抽出してください。
#単語リスト
{単語リストをペーストする}
(回答例)
問題 1
bang-up
A. 素晴らしい
B. 馬鹿野郎
C. 分岐
D. 特権
(以下略)
事例② 英検などの類題の出題
単語リスト以外にも英検の過去問やTOEICの模試などから、それらの問題に類似した問題を作成してもらうこともできます。過去問や模試だけだと演習量が不安な方におすすめです。しかしながら本番の試験との整合性や正確性と言う面では課題もあるため、まだ学習すべき参考書などがある人は先にそちらを終わらせるべきです。
(プロンプト例)
以下の#参考問題と内容やレベルが似ている問題を作成してください。ただし以下の#条件を守ってください。
#問題の条件
・問題数は3問にしてください。
・選択問題がある場合は、選択肢の記号はランダムに設定してください。
#参考問題
{問題をペーストする}
一方で観光英検や英単語検定など過去問が少ないマイナーな試験についてはChatGPTで類題を作成してもらう方法は有効です。
事例③ 自分が読んだ英文のニュースを理解度を確認するクイズの作成
別サイトから英文を張り付けることで簡単な読解問題を作成することもできるため、自分が読んだネットの英文記事などの理解度をチェックすることが可能です。
(プロンプト例)
以下の#英文について読者の理解度を確認する問題を作成してください。ただし以下の#条件を守ってください。
#問題の条件
・4択問題にしてください。
・問題数は5問にしてください。
・選択肢の記号はランダムに設定してください。
・問題の解答の根拠は#英文の様々な場所から抽出してください。
・#英文に書かれている内容が英文ではない場合や英文の語数が300語以下の場合は”英文をペーストしてください”と出力してください。
#英文
{英文をペーストする}
(回答例)
問題 1
What is the record high temperature reached in Las Vegas this July?
A. 100F
B. 115F
C. 120F
D. 125F
(以下略)
しかしながらプロンプトを工夫しないと出題が登場人物の名前を答えさせるような単純な内容になるため、英検1級やTOEFLのようなクオリティの問題を作成することは中々難しいです。
活用法④ 学習参考書や洋書の紹介
英文そのものの処理以外にも、英語学習に関する簡単なアドバイスをもらうこともできます。ただし後述の通り見当違いなアドバイスである可能性があるため注意も必要です。
事例① 目的に合った学習参考書を紹介してほしい
以下のように現状の英語レベルとこれからの目標を入力するプロンプトを作成することで、ChatGPTはより的確なアドバイスを提供してくれます。
(プロンプト例)
あなたは英語が得意な日本人の教師です。以下の#現状のレベルと#目標に適した学習参考書を5冊紹介してください。
#現状のレベル
大学受験で英語の偏差値が60である。
3年前に英検2級に合格した。
リーディングよりリスニングが苦手である。
#目標
1年以内にTOEICで800点以上を獲得する。
大学にいる留学生と日常会話を楽しむ。
(回答例)
英語力向上のための学習参考書を以下に5冊紹介します。現状のレベルと目標に基づいて、リスニング強化とTOEIC対策、日常会話の練習に適した参考書を選びました。
TOEIC対策
- 『新TOEICテスト公式問題集 Vol.6』
- TOEIC公式問題集は、本番のテスト形式に慣れるために最適です。リスニングセクションも含まれており、解説も充実しています。
- 『TOEIC L&Rテスト 900点特急 パート5&6』 by 加藤優
- パート5&6の問題に特化した参考書で、効率よくスコアアップを目指せます。文法と語彙の強化に役立ちます。
(中略)
これらの参考書を活用して、TOEICで800点以上を目指し、日常会話力も向上させましょう。がんばってください!
試験の内容に合わせたおすすめの学習参考書を紹介してもらうことができますが、内容としてはインターネットにある一般的な情報を集めた程度であるため、本当に試験対策を効率よく行いたい場合は、英語学習系のブログやYoutubeを参考にしたり、英語講師に質問した方がよいでしょう。
事例② 興味がある洋書を提案してほしい
洋書や海外文献に関して調べたいときはChatGPTを使うことが有効です。なぜならば英語講師であってもあなたが読みたい洋書や海外文献を普段から読んでいて適切なアドバイスをできる人は決して多くないからです。
例えば以下のようなプロンプトを作成することで、自分に合ったおすすめの洋書を探してくれるでしょう。
(プロンプト例)
あなたは英語圏(アメリカなど)に在住している英語のネイティブスピーカーです。#洋書と内容が似ている英語で書かれた本を5冊紹介してください。またそれぞれの本の簡単なあらすじを教えてください。
#洋書
{洋書の名前}
ここで{洋書の名前}の部分にルイス・サッカー氏の有名な児童書「Holes」を入力すると以下のような解答が得られます。
(回答例)
もちろんです。「Holes」(邦題:『穴』)は、ルイス・サッカーによって書かれたユニークで感動的な冒険小説です。この本と似た内容の英語の本を5冊紹介し、それぞれの簡単なあらすじもお伝えします。
1. “The Giver” by Lois Lowry
あらすじ: 未来の管理された社会で、12歳のジョナスは「記憶の保管者」に選ばれます。彼は人々が忘れた過去の記憶を受け取り、社会の真実を知ることになります。ジョナスは、その知識を使って自由と真実を取り戻すための旅に出ます。
2. “Hatchet” by Gary Paulsen
あらすじ: 13歳のブライアンは、両親の離婚の影響で心を痛めています。彼が小型飛行機で父親を訪ねる途中、飛行機が墜落し、カナダの荒野に一人取り残されます。ブライアンは、ハチェット(斧)だけを持って生き延びるための知恵と勇気を試されます。
(以下略)
プロンプトを入力することでおすすめの洋書を提案してもらえる他、これまで自分が読んだ洋書に似た内容の洋書を提案してもらうことができます。
ChatGPTの注意点について
ChatGPTはこれまで解説した通り非常に優秀なツールですが、一方で注意点もいくつかあります。特に情報の正確性については留意する必要があります。
注意点① 時々誤った情報が表示されてしまう
ChatGPTは時々誤った答えを提示する場合があります。英文の翻訳や問題作成の内容においては誤りはほとんどありませんが、試験対策のアドバイスや英単語のレベルについては見当はずれな回答を出してしまう場合があります。
例えば明らかに英検1級レベルの英単語にもかかわらず「この英単語は英検2級レベルです」と回答したり、明らかに上級者向けの洋書にも関わらず「この本はTOEIC600点レベルの方におすすめです」と紹介してしまうことがあります。
英語学習に詳しい人であればChatGPTの回答した内容に違和感を感じることができますが、初心者にとっては判別が難しいことも多いです。
注意点② プロンプトで細かい指示が必要である
ChatGPTはプログラムに基づいて動作しているため、出来るだけ単純で規則的な回答を出す傾向にあります。
例えば「自分のリストにある100個の英単語から4択問題を10問作成してほしい」と指示した場合にはランダムに出題するのではなく、リストの最初にある10個の英単語から順番に出題してしまう可能性が高いです。また選択肢が全く同じ問題(例:すべて選択肢Aが正解)を作成する傾向もあります。
つまりプロンプトで「リストの後半にある英単語もバランスよく出題してほしい。」や「正解の選択肢はランダムにして下さい。」と指示しなければ、あなたが望む結果が得られない可能性が高いのです。
また英作文についてもプロンプトで「日本人の中級レベルの英語学習者が使う単語や表現に限定してください」などの指示を与えないと、英検2級の英作文対策でネイティブスピーカーが使うような難しい表現を多用した文章を作成してしまう場合もあります。
まとめ
今回はChatGPTの活用法&注意点に関する解説はいかがだったでしょうか?
ChatGPTはこれまでにない速度で英作文やアドバイスを考案することは可能ではありますが、彼らは人間でないため残念ながらユーザーの背景知識や心情を読み取ることはできません。
このような時はプロンプトにてこちらの要望を正確に伝えることでよりあなたが求める答えを手に入れる確率が上がることでしょう。
当記事により英語学習におけるChatGPTの使い方についてこれからのヒントになる内容を知ることができればうれしく思います。